サクロ直伝!プラティのカレー修行


あらすじ

ブロンの姪ラジィを完膚なきまでに叩きのめし、試合に勝利にしたプラティ。
次の試合に供えて新たな武器を作ることになるが、材料調達のために赴いた地下迷宮の通路には鍵がかかっていた。
聞くところによると、その鍵は七鍛聖の一人サクロが持っているらしい。
早速サクロの元へ鍵を取りに行くプラティだったが‥‥



サクロ「さぁ始めようか」

プラティ「へ?」

サクロ「決まっているだろう‥‥
特訓だ

プラティ「ええ!?聞いてませんよ!わたしはただ鍵を貸してもらいにきただけなんですけど」

サクロ「安心しろ。僕は全部承知している。君が双子と試合をすることも、勝てないだろうということも全部だ」

プラティ「ええっ?!」

サクロ「だが心配はない。君はまったく未完成だ。つまり‥‥どこを伸ばしても伸びるということでもある」

プラティ「はぁ‥‥」

サクロ「まぁ、どうしても特訓は嫌だというのなら無理強いはしないが、どうする?」

プラティ「なんだかわかりませんが、わかりました。強くなれるんなら、やります!」

ラショウ「へっ!しょーがねーな」

サクロ「いいだろう、プラティ君。正しい判断だ。それでは早速修行を始めよう」

プラティ(鍛聖自ら特訓してくれるって‥‥嬉しいような恐いような)

サクロ「他事を考えている場合ではないぞ。まず材料を集めてもらう」

プラティ「はい!」

サクロ「今回は地下迷宮にはない少し特別な材料を使う」

プラティ「それはどこで手に入るんですか?」

サクロ「この第2階層に槍好きの鍛冶師と斧好きの鍛冶師の妻がいる」

プラティ「槍好きの鍛冶師と斧好きの鍛冶師のおくさん‥‥ですか?」

サクロ「そうだ」

プラティ「そこへ行って、この紙を見せれば材料が手に入る」

特訓メニューを入手!

サクロ「さあ、行ってきたまえ」










サクロ「ふむ。全部揃ったな。では、次にコレを作ってもらう!」

新しい秘伝を手に入れた!

プラティ「鍛聖の人から秘伝が貰えるなんて‥‥がんばります!」

サクロ「そうだ、がんばりたまえ!君にもお願いするよ、ラショウ」

ラショウ「わかったよ」

プラティ「じゃあ、早速帰って作ってみます!」









武器制作 ・
おたま完成!

プラティ「やったー!サクロさんの秘伝が完成したぞー。‥‥ってこれ『おたま』じゃないの!?

ラショウ「おたま、だな」

プラティ「やっぱりどう見てもおたまだ‥‥武器作りの特訓なのに、一体どういう‥‥そうか!」

プラティ
(これはアレだ!基本をもう一度見つめ直すことにより、今、足りないものを見つけ出すとかそんな感じのだ!)


プラティ
「わかりましたよ!サクロさん!!」









サクロ「できたみたいだな」

プラティ「‥‥ってこれおたまなんですけど」

サクロ「ああ、おたまだ。これで僕も随分助かる」

プラティ「え!?助かるって‥‥おたま作りは特訓じゃなかったんですか?」

サクロ「問題ない。
これも修行だ

プラティ「よかった‥‥じゃあ、さっき集めてきた特別な材料を使って特別な武器を‥‥」

サクロ
「海の幸や野菜を材料にかな?」

プラティ「はぁ?!」

サクロ「君が集めてきた材料は、特別においしい海の幸と野菜だ。君はあんなもので武器を作れるのか?別に作れないことはないが‥‥
変わっているな、君は

プラティ「いやあの‥‥今までのは特訓なんですよね!ね!!」

サクロ「くどいな、君は。そうだと言っている」

プラティ「‥‥わかりました。サクロさんを信じます」

サクロ「では次は‥‥スパイスが必要だな」

プラティ「スパイスぅ?」

サクロ「スパァイィスぅぅぅぅ?ではない。スパイスだ」

プラティ「スパイス、ですか?」

サクロ「うむ。下の階層にあるインドールという店で手に入る。実は今、店は改装中なのだが、僕の名前を出せば大丈夫だ」

プラティ「なんかすごい自信だなぁ」

サクロ「しかし、覚えておかなければならないことがいくつかある。ルール、というやつだ」

プラティ「なんですか?」

サクロ「まず、「お勘定をお願いします」は「ビル デジェー」だ。「まけてください」これが「カム カローナー」。「知りません」これは「バタ ナヒーン」」

プラティ「む、難しいですね‥‥!」

サクロ「彼らの故郷の言葉だそうだ。インドールに言ったらサクロの使いだと言えばいい。さあ、行きたまえ」

プラティ(信じていいよね‥‥)










サクロ「戻ってきたか?頼んだ品も揃ってるみたいだな。ご苦労だった。ところで君、あの異国料理「カレー」を食べたことがあるか?」

プラティ「はい、ワイスタァンでは結構有名ですから」

サクロ「では、先ほど集めた材料で、カレーを作ってもらう

プラティ「えぇ!?なんで武器じゃなくて、カレーを作るんですか!?」

サクロ「実は、僕は工城2階の広間でカレーを食べるのが‥‥そうだな、日課のようになっているんだ。まぁ、
僕の秘密の趣味みたいなものだ

プラティ「いや、サクロさんの趣味は
別に聞いてないんですが。
っていうか広間って開会式の場所でしょ?ぜんぜん秘密じゃないじゃないですか?」

サクロ「君は固いことを言うな。それより特訓の続きだ、さぁカレーを作りたまえ」

プラティ「‥‥と言われても。食べたことはありますけど、作ったことはありませんよ、カレー」

サクロ「問題ない。作ったことのあるものを作らせても修行にはならないだろう。では、今覚えたまえ。ナベを温め油をひく、この時、熱しすぎて煙りを出さないようにする。まず海の幸をさっといためる、火を通しすぎないように注意」

プラティ「はぁ」

サクロ「ここは間違えやすい。真剣に聞いておいた方がいい。これも特訓だということを忘れないことだ」

プラティ「は、はいっ!」

サクロ「次は野菜をいためるが、海の幸をいためたナベは洗わずにそのまま使う。そうすると海の幸のエキスを野菜が吸い込み味わいが深く‥‥」

プラティ(‥‥‥)

サクロ「火が通ったら水を加える。そして、柔らかくなるまで、じっくり煮込むんだ‥‥」

プラティ(この人って‥‥
きっとカレーの鍛聖なんだ

サクロ「スパイスは最後だ。そしてまたじっくり煮込んで‥‥そういえば重要なものを入れ忘れていたな。いいかい、ここがもっとも重要だ。」

プラティ「はいっ!」



サクロ「カレーに入れるもっとも重要なもの…
それは愛(はぁと)



プラティ「ア、アイっ(はぁと)」

サクロ「愛の匙加減一つでカレーは同じ材料を使ってもまったく違う味になる。では早速君のカレーを見せてもらおう」

プラティ「‥‥‥‥うう、本当にこの人を信じてもいいのかな?」

ラショウ「とりあえず、やってみようや」



カレー完成!



プラティ「あれ、サクロさんがいない‥‥?」

ラショウ「ああ‥‥奴、何か言ってたじゃねぇか。カレーを喰うのが好きな場所とかよぉ」

プラティ「そういえば。っていうか、知ってるんなら教えてくれたっていいじゃん」

ラショウ「特訓だろ特訓!とっとと奴を見つけ出してこんな特訓終わりにしようぜ!おっとカレー忘れるなよ」

プラティ「はいはい!わかりましたよ〜!」



工城・広間



サクロ「おやプラティ君‥‥よくここがわかったね」

プラティ「えへへ。そうだ、出来ましたよ」

サクロ「お、もうカレーが出来たのか。どれどれ‥‥香りはなかなかいいようだな。よし、ここでカレーを食べよう」

プラティ「本当にここで食べるんですか?」

サクロ「安心しろ。鍛聖権限というやつだ。それに‥‥見つかっても謝ればいいだけのことだ」

プラティ「つまりサクロさんも、見つかったら怒られるってことですね?」

サクロ
「そうとも言うな」



カレーをたいらげた!



サクロ「ご馳走様。美味しかった‥‥やはりカレーは本場のスパイスに限るというものだ」

プラティ「えへへ、頑張りましたからね〜。ね!ラショウ」

ラショウ「まあな」

プラティ「で、サクロさん‥‥サクロさんはなんでカレーなんか作らせたんですか?」

サクロ「僕の師匠は黒鉄の鍛聖シンテツ様。つまり君の父上だったのだが、僕が最初にやらされたのが、このカレー作りだった。それだけだ」

プラティ「それだけって‥‥。でも知りませんでした。サクロさんがお父さんの弟子だったなんて」

サクロ「そうか‥‥ならば三年前に何があったかも知らないわけだ」

プラティ「えへへ‥‥実はそうなんですよ‥‥」

サクロ「そうか、ところでこの剣の都ワイスタァンが、海の中にそびえる塔の姿をしているのは知っているな?」

プラティ「初耳です。ていうか浮いてるんじゃなかったんですか?」

サクロ「そう思っている者もいるようだが、鍛冶師の間では海中にそびえる塔であることは常識だ。
いいか、この都市国家ワイスタァンは、聖殿‥‥その上に地下迷宮、そしてその上に街がある」

プラティ「聖殿に祭られているのが、鍛冶師にとっての大聖霊、剣の聖霊パリスタパリス様ですよね」

サクロ「そうだ。地下50階の聖殿にな」

プラティ「50階だったんですか!?いくらパリスタパリス様を護るためって言っても、ちょっと下すぎないかなぁ」

サクロ「そうだ。おかしいとは思わないか?それを疑問に思った鍛聖がいてね」

プラティ「お父さんですか?」

サクロ「違う。でもその女性とこの街を護るためにシンテツ師は戦った。
僕はシンテツ師の戦いを誇り高きものだと思っているし、その戦いを間近に見られたことは僕の誇りだ。もっとも‥‥当時鍛聖になったばかりの僕は役には立たなかったが」

プラティ「へぇ‥‥」

サクロ「随分と話し込んでしまったな。カレーご馳走様、美味しかったよ」

プラティ「えへへ、もっと褒めてください」

サクロ「そういえば、僕が受けたカレーの試練の時、シンテツ師はこうも言っていた‥‥
「これだけの不条理な試練をこなす素直さがあるならば‥‥何を与えられても吸収して成長していくことができるだろう」そう言ってこれを渡してくれたよ」

プラティ「これって‥‥?」

サクロ「地下12階層の鍵だ。ブロンの秘伝を完成させるために必要なのだろう?」

プラティ「はい!ありがとうございます!」

サクロ「そろそろ僕は戻るとするか。ナベは持って帰るよ。試合、頑張りたまえ」











サクロさん‥‥!(愛)

もうどこからつっこめばいいのか!
とりあえずバックに流れる曲が夜会話のBGMってアナタ。
密室に二人きり(この際ラショウの存在は忘れましょう)というおいしいシチュエーションと
サクロさんの浮かべる優しげな微笑みとの相乗効果で非常にステキングなイベントでした。

いやほんと


会話の内容さえ気にしなければ。


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