ライ&アカネ ED



▼第十三話

ライ(先生・・・。今頃、どこでなにを・・・)

アカネ「べろべろばあっ!」

ライ「のわぁっ!?」

アカネ「あはははっ♪ 驚いた、驚いたっ♪」

ライ「な・・・っ!? 何考えてんだよっ お前はっ!?」

アカネ「何って、そりゃ店長をおどかしてやるぞー、って」

ライ「そういうこと言ってるんじゃねえよ。ふざけるのは時と場合を考えろって言ってるんだよ。人がせっかく・・・」

アカネ「陰気な顔して思い詰めてるのに邪魔をするなっ! ・・・ってコト?」

ライ「!」

アカネ「ダーメだって。そんなことしてもいいことないって。くらぁい顔してたら女の子にもモテなくなっちゃうぞぉ?」

ライ「ほっとけよ・・・好きで、こうしてるワケじゃねえんだ」

アカネ「だったら、今すぐやめるべきだね。同情引きたいっていうのなら、まあ別だけどさ」

ライ「・・・・・・っ」

アカネ「まあ、たしかに拗ねたくなるのもわかる気はするよ。きっつい状況なのは 新参者のアタシでもわかるもんね」

ライ「え・・・」

アカネ「だけど、そこで踏ん張れるのが イイ男なんだよね。アタシの知ってる連中は、みんなそういう奴なんだ」

ライ「それって、アルバが前に言ってた・・・」

アカネ「そ、サイジェントの陽気で強気な貧乏人の勇者サマたち♪ なんせ、そのしぶとさときたら、そこらの雑草顔負けだもんね。踏みつけられても 絶対、ひん曲がったりしないんだよなあ。むしろ、ムキになって真っ直ぐに伸びようとするってカンジ?」

ライ「・・・・・・・・・」

アカネ「お子ちゃまのアンタに そこまでやれなんて言わないけどさあ。爪のアカぐらいは 見習ってみてもいいんじゃない?」

ライ「ば、馬鹿にすんなよ! ったく・・・それぐらい、オレでもやってやらあっ!!」

アカネ「おーっ、だったらやって見せてもらいましょうか。店長の男っぷりを 見せてちょうだいな。思わず、アタシがときめいちゃったりするくらいのをね


よっしゃ・・・見てろよぉーっ!




▼第十四話

アカネ「アタシに忍法を教えて欲しいって。あははっ、店長ってば、くだんない冗談なんか言っちゃってぇ♪」

ライ「オレは本気なんだ!」

アカネ「・・・なんでよ? なんで、忍法なんか習いたいワケ?」

ライ「ギアンに勝つためだ。今のオレの実力じゃ、響界種と戦って勝つ自信がないんだ。だから、少しでも強くなるために忍法を・・・」

アカネ「無理ムリ、そんなのできっこないから」

ライ「アカネ!?」

アカネ「ちょっぴり修行したくらいで、使えるもんじゃないんだよ!! アタシだって、この年まで修行して、やっとこの程度なんだよ? 甘っちょろい考えで忍法を使おうだなんてバカにすんなっ!!」

ライ「・・・・・・っ」

アカネ「あのね、店長・・・。たしかに、ギアンの持ってる力は凄いしおっかないって思う。けど、それに対抗するためだけに、強い力を欲しがったってきっと、不幸になるよ」

ライ「え?」

アカネ「力を求め続けた末に何もかも無くしてしまった奴も、手にした力の重みに悩みながら、それでも笑って生きてる人も、どっちも、アタシは知ってるからね」

ライ「あ・・・」

アカネ「ギアンに勝つ為にどうしても忍法が必要だっていうんなら、その時は、アタシをアテにしちゃいなって。帰りの旅費を貰うまでは、店長はアタシの主人なんだしさ♪」

ライ「アカネ・・・」

アカネ「店長は、店長らしくいつも通りにしてればいいんだよ。そうすれば、きっとみんなも、力を貸してくれるって♪」

ライ「うん、そうだな・・・」


戦っているのはオレ一人だけじゃないんだもんな・・・




▼第十六話イベント

アカネ「おっ、ようやく出てきたな?」

ライ「あははは・・・うん、心配かけてゴメンな」

アカネ「どっちかっつーとそのセリフはさあ、あたしより先に付き合いの古い連中に言うべきじゃないの?」

ライ「それは、もちろんわかってる。でもな・・・」

アカネ「・・・怖いんだ?」

ライ「・・・・・・っ」

アカネ「まあ、せっかくのご指名みたいだしさ。あたしでよけりゃ話してごらんよ?」

ライ「実は・・・」



アカネ「ふーん・・・やっぱ、その手の悩みごとだったかあ」

ライ「気づいてたのか?」

アカネ「そりゃあ気づくっしょ? あたしも、目の前で奇跡ってのを見てるワケだしさ。ああいうのは、何度見ても、慣れるもんじゃないけどね」

ライ「何度、って・・・アカネは、他にも見たことあるのか!?」

アカネ「うん、あるよ。そういう友達、やたら多いんだよねえ」

ライ「友達なのか・・・」

アカネ「そ、友達だよ。ピカーって光ったりやたら不死身だったり無敵なんだけどさあ。それだけのこと。みんな、気のいい連中。一緒にいて楽しいし、だから、長いこと付き合っていられるんだろうなあ・・・」

ライ「・・・・・・・・・」

アカネ「もう、わかったよね?」

ライ「・・・ああ!」

アカネ「人の繋がりなんてさ、結局は、好きか嫌いか、それだけなんだよね。理由なんか後付けだし、難しく考えても、なるようにしかならない」

ライ「だな」

アカネ「自信持ちなって! あたしは、店長のこと嫌いじゃないしさ」

ライ「ありがとう、アカネ。オレ、難しく考えすぎてたんだな?」

アカネ「そーゆーこと♪」




▼第十八話

アカネ「おいっす♪ ・・・ありゃりゃ? 店長、なんでびっくりしてくんないワケ?」

ライ「何度もやられてりゃさすがに慣れるって。つーか、そもそもそういう発想自体がガキくさいぞ?」

アカネ「うはははは、年上のお姉さまに向かってそう言いますか?」

ライ「年上ぶるんだったらそれっぽくしろよな。説得力ねーぞ?」

アカネ「はいはい、だったらそれっぽくしますか。こらっ、子供が起きてていい時間じゃないでしょ!」

ライ「・・・・・・・・・」

アカネ「・・・・・・・・・」

ライ/アカネ「ぷ・・・っ、ははっ、ひゃはははははっ♪」

ライ「に、似合わねーっ」

アカネ「うんうん、我ながら鳥肌たっちゃう凄まじさだね♪ あたしの流儀ならこういう時はむしろこう言うべきだよね。せっかくだしさ ちょっと、あたしとだべってかない?」

ライ「ああ、いいぜ」



アカネ「ふーん、不安で眠れない、か。店長って、怖いもの知らずな印象があったから、ちょっと意外」

ライ「うん、自分でも意外というか、情けないよなって思ってるよ」

アカネ「あれれ、あたしは別に情けないなんて言った覚えはないけど?」

ライ「え、でも・・・」

アカネ「完全無欠でいられる人間なんて、どこにもいないもんなんだよ。いるとしたら、多分そいつは自分を作っているんだって思う」

ライ「作ってる???」

アカネ「わかりやすいとこだとギアンなんか、もろにそうなってるじゃん。憎たらしいくらいに冷静でいたくせにさ、今じゃ、すっかりキレまくってばかりって気がしない?」

ライ「確かに・・・」

アカネ「完璧でいようとする奴ほど、化けの皮がはがれた途端に脆くなるもんだよ。そういうの、やっぱカッコ悪いじゃん?」

ライ「うん・・・」

アカネ「丈のあわない服でめかしこんだって滑稽なだけだよ。自然体が一番だって、あたしは思ってる。他人の目をいちいち気にしてばかりじゃつまんないし・・・なにより楽だしね♪」

ライ「ははっ、それってアカネらしいな」

アカネ「うん、でもそれは店長だって同じこと。今まで、あんたはずっとそうやってきたんじゃないの?」

ライ「あ・・・」

アカネ「場合が場合だからさ、慎重になるのは当然だって思うけど。深刻になる必要はないんじゃない?」

ライ「そっか・・・うん、そうだよな。オレ、知らないうちに難しく考えすぎていたのかもしれないな」

アカネ「うん、それがわかればもう大丈夫だね」

ライ「もしかして、お前、励ましてくれたのか?」

アカネ「さあねえ・・・。あたし、言いたいこと言ってるだけだし。あんまり頭から信じてかかると、馬鹿みても知らないよぉ?」

ライ「な、なんだよっ!? 人がせっかく感謝してるってのに!」

アカネ「にひひひひっ♪」

ライ「ったく・・・」

アカネ「でもさあ・・・真面目な話、店長は面白い人だよねえ。無鉄砲で、無造作で、ぶっちゃけすぎてるトコロとかさ」

ライ「貶してんのか?」

アカネ「褒めてんのよ、一応は。師匠に言いつけられてしぶしぶ始めた行商の旅だったけどさ、その締めくくりにあんたたちと出会えてよかったと思うよ」

ライ「アカネ・・・」

アカネ「あ、だからって働いたお給料はロハにしないかんね?」

ライ「わかってるって! ちゃんと帰りの路銀は渡してやるからさ」

アカネ「うんうん、それを聞いてひと安心。んじゃ、それまではあんたは、あたしの主君ってことだから。助けてあげるよ。だから、安心して部屋に戻りな?」

ライ「うん・・・」




▼ED

アルバ「わざわざ、見送りありがとう、みんな」

ルシアン「そんな水くさいこと言わないでってば。僕たちは、ずっと一緒に戦ってきた仲間じゃない」

ライ「ああ、そうだな。しかも、後始末まで手伝わせちまってさ。ホントなら、黒騎士たちと一緒に帰ってたはずなんだもんな」

アルバ「それこそ、水くさいよ。この一件は、初めておいら自身の意志で関わったものだし、最後まできちんと手助けをして、結末を見届けたかったんだ。隊長たちが単独行動を黙認してくれたのもきっと、そうしろってことだったと思うんだ」

ライ「そっか・・・」

アカネ「あのさ・・・さっきからキレイに忘れられてますけど、あたしも、一応アルバと一緒に帰るんですけど?」

リシェル「ああ、そうだっけ? それじゃ、またね」

アカネ「うわっ、なにソレ!? とってつけたような投げやりな挨拶!? あたしだって、結構お役に立ったじゃん!」

ライ「でもなあ・・・オマエの場合、発端が自業自得だしなあ」

リシェル「アルバとは違って、報酬だって払ってるわけだし・・・」

アカネ「ううう・・・っ、ひどいよ、ひどいよ。よよよよ・・・っ」

ルシアン「もぉーっ、二人とも 冗談がきついよ!?」

ライ「あっはははは! いや、わりぃわりぃ。ゴメンな、アカネ」

アカネ「うううぅぅ・・・っ」

リシェル「でも、マジメな話さ。あんたとは、別れる実感ないのよねえ。ふとしたきっかけで また、ひょっこりと顔を出しそうでさ」

ミント「ああ、それは私も同感かも。お師匠さまに、また叱られて、薬売りに戻るとか・・・」

アカネ「いい年して、そう何度も怒られたりはしないってば!?」

リシェル「でも、現にこうしてお仕置きで、ここにいるじゃん?」

アカネ「うぐ・・・っ」

ライ「まあなんにしろ、近くに来たら、絶対顔を見せにこいよな。店の手伝いとかでまた、こきつかってやるからさ?」

アカネ「ちゃんと自給あげてくれるんなら、ね♪」

グラッド「おい、お前ら。名残惜しいのはわかるけどな、そろそろ出発させてやらなきゃ、山越えできなくなるぞ?」

ライ「わかってるって!」

リシェル「また怪我とかしないように、気をつけて帰りなさいよね?」

ルシアン「父さんを説得して、僕も必ず、後から追いかけるから!」

アルバ「ああ、待ってるぜ!」

アカネ「いやはや、若いって素晴らしいよねえ」

ライ「なに言ってんだよ アカネだって、まだ若いだろーがよ」

アカネ「お、うれしいこと言ってくれるじゃん。ちょっとは、店長も女心がわかるようになってきたのかな?」

ライ「おう、まあな」

アカネ「ふーん・・・。そんじゃ、これは頑張ったご褒美♪」

ライ「!?!?!?」

アカネ「ふっふっふ、ほっぺにちゅーされたぐらいで動揺してるようじゃ、まだまだ、修行が足りないみたいだね」

ライ「か、かかか・・・っ! からか・・・っ!?」

アカネ「気に入ってなくちゃ、冗談でも、こんなことやんないからね」

ライ「!」

アカネ「・・・なーんてねっ♪」

ライ「ったく・・・」

ミント「ミモザ先輩たちに 婚約おめでとうって 伝えておいてね?」

アルバ「うん、わかってる。だけど、あの人の性格を考えるときっと、知り合いまとめて、結婚式に呼びそうだよなあ」

リシェル「じゃあ、またすぐに会えるってことね」

ライ「おいおい、リシェル 勝手に参加する気になっても・・・」

ミント「あら、いいじゃない。きっと先輩たちなら喜んでくれるわ。だから、その時はみんなでお祝いをしにいきましょ?」

リシェル「やったぁーっ♪」

アカネ「あ、店長はもちろん厨房担当でよろしく♪」

ライ「やれやれ・・・」

アルバ「その時には、また改めてみんなを紹介するよ。おいらの仲間たち、ううん、大切な家族のみんなをね」

ライ「ああ、楽しみにしておくぜ?」

アルバ「それじゃ、みんな本当にありがとう!」

アカネ「まったねぇーっ♪」






せいぜい頑張って、イイ男になりなよ


あたしがビックリしちゃうくらいに、ね








『もう一度、何度でも』


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