ライ&エニシア ED



▼ED

ライ/リシェル「つ・・・っ、つかれたあぁ・・・っ」

ルシアン「二人とも、本当にお疲れ様」

ライ「おう、ルシアンもお疲れさん」

リシェル「にしても、最近のお昼時って、戦場そのものよねえ。ちょっと前まではお客が列を作るなんてありえなかったもん」

ルシアン「それはそうだよ。なんたって、今のライさんは「ミュランスの星」が認めた、帝国最年少の有名料理人だもの。噂を聞いて、遠くから食べに来る人たちもいるくらいなんだよ」

リシェル「有名料理人ねぇ・・・」

ライ「そんなのは、他人が勝手に騒いでるだけさ。オレはただ、ずっとこの町でうまいメシを作り続けながら、もっと、みんなに喜んでもらいたいだけ。それだけでいいんだ」

リシェル「けど、原因はともかく人手不足は深刻よ!?」

ライ「たしかに、お前らに手伝わせるのも限度があるしなあ・・・」

リシェル「そもそも、あたしたち無償で手伝ってあげてるんだからね? これ以上、こき使うんなら、本当にお給金要求しちゃうわよ?」

ライ「ぐ・・・っ」

ルシアン「まあ、お給金の話は冗談ってことにしても、ねえさんも僕も毎日確実に手伝えるってわけにはいかないし、アルバイトを雇うのは考えたほうがいいかも」

ライ「うーん・・・わかっちゃいるけど、でもなあ・・・。ウチの仕事はきついし、人間以外の常連だってたくさんいるから、募集をしたところで人が来てくれるか不安なんだよなあ・・・」


エニシア・・・じゃあ、私を雇ってみませんか?」

ライ「え??? え、エニシアっ!?」

エニシア「えへへへ・・・ただいま帰りました、ライ」

リシェル「ホントのホントにエニシアなの!?」

エニシア「ほんとのほんとにエニシアだよ、リシェルさん」

ルシアン「だけど・・・貴方は、あの後元の姿に戻ったギアンたちと一緒に幻獣界へと旅立ったはずじゃあ・・・」

ライ「もしかして、途中でなんかあったのか!?」

エニシア「ううん、無事にメイトルパには辿り着けたよ。カサスや子供たちも仲間と再会できて、すごく喜んでた」

ライ「お母さんとは・・・ちゃんと会えたのか?」

エニシア「うん…半妖精の私は、掟で『妖精郷』に入ることはできなかったけど、ちゃんと、お母さんに会うことはできたよ。大きくなったね、って頭をなでてもらって嬉しかった・・・」

ライ「そっか…」

ルシアン「願いを叶えたからこっちに戻ってきたってことなんだね」

リシェル「でもさ・・・そんなにもあっさり行き来できるワケ? あんたとギアンとリュームが力を合わせてさ、なんとか無事に門を開くことができたんでしょ?」

エニシア「帰る時は、お母さんが門を開いてくれたからずっと簡単だったの。もちろん、みんなの手助けがあったからなんだけどね」

ライ「・・・ってことは!?」

リューム「おいーっす! かわいい息子が帰ってきてやったぜっ♪」

リシェル「リュームっ!?」

セイロン「あっはっはっは♪ 皆、息災のようでなによりだな」

リビエル「世界に最期が来てもこの人たちは、絶対生き残るクチですわ」

ルシアン「セイロンさん!? リビエルちゃん!?」

クラウレ「お前たち、少しは遠慮というものを考えてだな・・・」

アロエリ「気遣いは無駄というものです、兄さま。出戻りの時点でもうとりつくろいようもないんですから」

セイロン「うむ、勝手知ったる他人の家というヤツだ」

クラウレ「そ、そうか・・・」

ライ「うははは・・・まあ、当然だよな、この状況は・・・」

リューム「あっちの世界はさ、なんつーか、刺激が少なくてさあ・・・。その点、親父と一緒にいれば、退屈はしなくてすむしな!」

ライ「ったく・・・しょうがねーなあ、お前は・・・」

リビエル「そのいう具合で私たちも、同行してきたわけですわ。守護竜を補佐する御使いとして、ね」

アロエリ「ああ、使命だからな。オレたちは、全力でそれを果たすまでだ」

リシェル「そんなこと言ってさあ、ホントは、リビエルもアロエリも・・・帰ってこれて、結構ホッとしてるんじゃないのぉ?」

アロエリ「ななっ、なにをッ!?」

ルシアン「でも、これでまたライさんの美味しいゴハンが食べられるのは正直うれしいでしょ?」

リビエル「それはまあ・・・否定はしませんけど」

アロエリ「実際、くつろいでしまっているのは事実だし・・・」

エニシア「あ、あのぉ・・・」

ライ「おっと。わりぃな、エニシア。勝手に盛りあがって。もちろん、エニシアが手伝ってくれるのなら大歓迎だぜ?」

エニシア「うんっ、がんばるよ!」

リシェル「ちょっと待った!? まさかとは思うけど、ライ・・・エニシアと一緒にこの家で暮らすつもりじゃないわよねえ?」

ライ「いいだろ、別に? 部屋は余ってるし」

リシェル「そーいう問題じゃあなくってさぁ!?」

エニシア「私もね、そのほうが本当はうれしいなあって思ったんだけど、保護者が・・・」

ライ&リシェル「保護者???」

レンドラー「住み込みで働くなど言語道断ですぞ!? 姫さまっ!!」

ライ「げげっ、レンドラーのオッさんっ!?」

ギアン「社会勉強のために働きたいという志は認めはしたが・・・あくまで、自宅から通うのが約束だっただろう、エニシア?」

ライ「ギアン・・・お前まで、戻ってきてたのかよ・・・」

ギアン「ふん、当たり前だ。ボクは、エニシアの兄代わりだからな。彼女が幸せになるまで、責任をもって守らせてもらう。恩人とはいえどもそこは、きっちりとさせてもらうぞ?」

レンドラー「場合によっては・・・わかっとるな、小僧?」

エニシア「もぉーっ、ギアンもレンドラーも、心配しすぎだってば!?」

ライ「う、うははは・・・っ」

リシェル「やれやれ・・・」

ルシアン「だけど、自宅ってどこに借りたの?」

セイロン「わざわざ、借りる必要などあるまい。我らにとっての家はこの宿屋と、そしてもうひとつのみ!」

ライ「ま、まさか・・・」




ライ「ああ・・・やっぱり・・・」(町の上空に浮かぶ城を見上げて)

エニシア「心配しなくてもすぐに町の上からはどかしておくから」

ライ「いや、そーいう問題じゃなくてな・・・」

グラッド「こらぁーっ!! まーた、お前たちの仕業かぁーっ!?」

ミント「あ、エニシアちゃん。やっぱり、帰ってきちゃったんだね」

ポムニット「姫さま・・・お帰りなさいまし」

ライ「ああっ、もう・・・なにがなんだか・・・」

グラッド「とにかく、さっさとあの物騒なシロモノをなんとかしろっ!?」

エニシア「はい、わかりました! 手伝ってくれるよね? ライ」

ライ「ちょ・・・っ!? え、エニシアっ!?」





はしゃいじゃってごめんね・・・


でもね、うれしくてうれしくて、たまらないの
こうやって、貴方と手をつないでいられるのが


夢の中だけじゃなくてこれからは、すぐ近くで一緒に思い出を作っていける


それが、新しい私の願い。
なによりの幸せ…




大好きだよ、ライ

泣き虫の私に勇気をくれた王子さま






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