レックス×アズリア夜会話



▼第12話

アズリア 「助けられたな・・・。敵だった、貴様らに」
レックス 「傷の具合はいいのか?」
アズリア 「手当がよかったからな。おかげで、ギャレオも命を拾うことができた。本当に感謝している」
レックス 「お互い様だよ。アズリアのおかげで、俺も助かったようなものだし・・・」
アズリア 「・・・不思議なものだな」
レックス 「え?」
アズリア 「こうして、部下たちの弔いを見届ければ、怒りのひとつもわいてくるかと思ったのだが・・・。なにも浮かばないんだ・・・。怒りも、悲しみも・・・なにひとつ・・・」
レックス 「アズリア・・・」
アズリア 「ははは・・・ どうやら、私は芯から軍人になってしまったらしい」
レックス 「それは違う!だって・・・だってさ、アズリア。気づいていないだけで 君は、今・・・」
アズリア 「あ・・・。あ、ああ・・・? うああぁぁぁぁっ!!」



▼第13話

アズリア 「全ての発端は、イスラによって引き起こされたことだったとはな・・・。それも知らず、お前につっかかっていた自分が情けない」
レックス 「それじゃ、イスラはやっぱり剣のことを隠していたんだな」
アズリア 「ああ、知っていたのなら、今までの戦いの中で迷わず使わせていたさ。ならば、勝てたとも思えないがな・・・」
レックス 「アズリア・・・」
アズリア 「しかし、イスラはなぜ今になって剣を抜いたのだろう」
レックス 「オルドレイクたちと合流するまで用心していたからじゃないのか?」
アズリア 「それぐらいはわかる。だが、それだけなら、私を始末しにきたあの夜に使わない手はないだろう?」
レックス 「それは・・・」
アズリア 「使いたくとも使えぬ理由がある? だとすれば・・・」
レックス 「そういう理由じゃないって、俺は思う」
アズリア 「え?」
レックス 「イスラはきっと、君にはあの剣を向けたくないんだよ」
アズリア 「バカな・・・ 根拠はあるのか!?」
レックス 「それは、ないけど・・・」
アズリア 「なら、慰めでもそんな馬鹿げたことを口にするな!あの子の願いは私を殺すことなんだ。そんなこと、絶対にありえん!」
レックス 「だけど・・・」


俺には、イスラが本気で君を殺すつもりだとは、どうしても思えないんだ・・・



▼第15話

アズリア 「やれやれ。これで、どうにかひと区切りついたようだな」
レックス 「それはいいんだけどさ、アズリア」
アズリア 「な、なんだ? その不満そうな目は・・・」
レックス 「どうして あんな無茶したんだよ?」
アズリア 「う・・・。それは、そのだな・・・なんというか・・・」
レックス 「ごまかそうなんて思ってたら、本気で怒るよ?」
アズリア 「う・・・っ」
レックス 「俺のために戦おうとしてくれたことは、うれしかったけどさ。あんなふうに、お互いに心配をかけるようなことは、もうやめにしよう?守るのも、守られるのもすぐ側にいなくちゃ、満足にできなくなるから・・・」
アズリア 「レックス・・・そうだな・・・。私が、軽率だった。すまん・・・しかし・・・たかが、一度のの無茶ぐらいで、無茶の常習犯のお前が、よくそこまで言うものだな・・・」
レックス 「こんな時でもなかったら アズリアを叱るなんてことできないからね」
アズリア 「な、なんだと〜っ!?」
レックス 「わわっ!? やめろって! 都合が悪くなると、すぐ腕力に訴えるのは!?」
アズリア 「まったく・・・そんな調子では、またあいつに、足元すくわれかねないぞ・・・」
レックス 「・・・イスラのことだね」
アズリア 「正直、今の私にはあいつの考えが、まるでわからなくなっている。どうやれば、救えるのか。どんな言葉なら、あの子の心に届くことができるのか。見当もつかない・・・私は、あの子の姉なのにな」
レックス 「アズリア・・・悩む必要なんてないさ」
アズリア 「え?」
レックス 「どんな言葉でも、アズリアの真剣な思いがこもっているならきっと、イスラには届くよ」
アズリア 「そう、かな・・・」
レックス 「ああ、そうだよ だから、最後まであきらめちゃ、ダメだって! 弟さんを、助けよう。ひとりぼっちのままじゃ可哀想じゃないか? 一人でダメなら、俺も一緒に手伝うからさ・・・」
アズリア 「レックス・・・すまん・・・」
レックス 「なあ、アズリア この戦いが終わった後はどうするつもりなんだ?」
アズリア 「あまり、考えていなかったな そういうことは・・・ただ、間違いなく言えるのは、このまま帝国に戻れば、まず軍法会議は逃れられないということだろうな」
レックス 「あ・・・」
アズリア 「なにせ、任務に失敗した上に 部隊を全滅させてるんだ それなりの覚悟はしないとな」
レックス 「あのさ・・・もし、アズリアがその気になってくれるのなら、このまま、俺たちと一緒にこの島で暮らす、ってのはどうなのかな?」
アズリア 「・・・っ そうもいくまいさ それでも私は、帝国の軍人なのだからな」
レックス 「アズリア・・・」
アズリア 「お前の気持ちはうれしい だが、それに甘えてしまえば私は逃げたことになる」
レックス 「・・・!」
アズリア 「お前がお前の道を選んだように、私にも私の道がある かなえたい夢があるんだ。どれだけ困難があっても、あきらめなければ、いつかその思いは必ず届く・・・そう教えてくれたのは レックス お前じゃないか?」
レックス 「・・・うん」
アズリア 「すまないな・・・」
レックス 「いいんだよ その気持ち、俺にだってよくわかるし・・・それでこそ、アズリアだよ。俺、応援するから」
アズリア 「ああ、そうしてくれ」


これでいいんだ・・・ お前も、私もこのままで・・・



▼ED


そして・・・ 私は、帰ってきた。

夢の続きを・・・ かなえるために・・・


ギャレオ 「隊長、そろそろ船が出る時間です」
アズリア 「わかった・・・」
ギャレオ 「海を、見ていたのですか?」
アズリア 「ああ、しばらくはこの景色を見ることもできなくなるからな」
ギャレオ 「自分は、今でも軍法会議の決定に納得できません!末端とはいえ 海戦隊では正規の部隊を率いておられたはずの隊長が、陸戦隊の・・・しかも、聖王国国境の警備部隊に転属されるだなんて・・・あそこは、退役間近の兵のための、閑職じゃありませんか!?」
アズリア 「そう言うな、ギャレオ。護送していた魔剣を2本とも失ったうえに 部隊を全滅させたんだ。軍籍を抹消されずにすんだだけ、マシだと私は思っているんだぞ」
ギャレオ 「隊長・・・」
アズリア 「数々の軍功を重ねたレヴィノス家の名前があればこそ、この程度ですんだのだろうな。父上や縁者たちにはいずれ、正式に謝罪をしなくてはなるまい」
ギャレオ 「く・・・っ! せめて、証人としてあの者を呼ぶことができたら・・・」
アズリア 「そんなことをすえばあいつは、間違いなく島に帰れなくなる。そっとしておいてやりたかったんだよ あいつも あの島も・・・お前も、それを承知で事情聴取の時、口裏を合わせてくれたんじゃなかったのか?」
ギャレオ 「それはそうですが しかし・・・」
アズリア 「どんな閑職であろうと 国を、民を守るための任務に、違いはない。恥じることなく、務めを果たしていけばいい それが、軍人としての私の誇りなのだから。間違ってると思うか?」
ギャレオ 「いえ・・・」
アズリア 「なら、いいじゃないか」
ギャレオ 「失礼ついでに・・・ もうひとつ、質問してよろしいでしょうか?」
アズリア 「なんだ?」
ギャレオ 「どうして、あの男に・・・貴方の想いを、告げはしなかったのですか?」
アズリア 「・・・・・・」
ギャレオ 「好きだったのでしょう? ずっと、昔から・・・」
アズリア 「ああ・・・。学生の頃から、ずっと、な・・・。自分の気持ちに正直なあいつが、憎らしくて、うらやましくて・・・好きだった・・・」
ギャレオ 「・・・・・・」
アズリア 「でも、これでいいんだ。私は家を捨てられない。そして、あいつから自由を奪いたくもない。だから、いいんだ 叶わなくて・・・さあ、行くとしよう。もう一度、初めからやり直すために!」
ギャレオ 「はッ!」




ありがとう・・・

貴方を好きになれて・・・



よかった・・・




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