レックス×アルディラ夜会話


▼第3話

レックス 「・・・はい?」
スカーレル 「センセ、お客さんよ」
レックス 「え? お客って・・・」
スカーレル 「うふふ、会えばわかるわよ」

アルディラ 「・・・・・・」
レックス 「アルディラさん!?」
アルディラ 「あげるわ・・・」
レックス 「えっ」
アルディラ 「さっきのお礼よ 借りは借りだから」
レックス 「あっ・・・ありがとう・・・」
アルディラ 「すくなくとも、貴方はあの兵士たちとは違う。それだけは、認めてあげるわ・・・」



わざわざ、このために訪ねてきてくれたんだ あの人・・・




▼第4話

レックス 「いろいろとあったけど、これでようやく仲良くなれそうだね」
アルディラ 「そう簡単にいくとは思えないけど、島のみんなが、貴方たちへの警戒を解きつつあるのは確かみたいね」
レックス 「それだけでも十分だよ。会って、話をすることができるんだもの」
アルディラ 「貴方みたいな人は人間の中でも、本当に珍しいタイプね。あきれるぐらいに物事をまっすぐに見る。懐疑を持とうとしない」
レックス 「よく言われてたよ お前は世の中を甘く見すぎてる、って。いつか、だまされて痛い目を見るぞ!なんて言われたこともあったなぁ・・・」
アルディラ 「その意見には、私も大いに賛同するわ。だけど、そういうのってキライじゃないわよ?論理的な思考をする融機人には総じて生じにくい、感情の発露だものね」
レックス 「えっと、今の・・・どういう意味かな?」
アルディラ 「私が貴方を興味深く感じている そういう意味かしらね」



好意を持ってくれているってことだけは間違いないんだよな、きっと・・・




▼第5話

アルディラ 「帝国軍の、アズリアだったかしら? 本格的に、あいつらは敵に回ったわね・・・」
レックス 「うん・・・俺が、剣を持っているのもバレただろうし・・・」
アルディラ 「結果論よ 気にしないで。貴方がいなくても、以前の私達だったら迷わず戦っていた。むしろ、貴方がいてくれたから、ここまで戦端を開かずにすんだ。少なくとも、私はそう思っているわ」
レックス 「アルディラ・・・」
アルディラ 「だけど、貴方は平気なの? 彼女は、貴方の知り合いでしょう?」
レックス 「まだ、必ず戦うって決まったわけじゃないから。なんとか話をして戦わずにすませられるようにしてみせますよ」
アルディラ 「いかにも、貴方らしい考え方だわね・・・」



彼女だったらきっとわかってくれる、きっと・・・!




▼第6話

レックス 「前から気になっていたことが、ようやくわかって安心したよ」
アルディラ 「?」
レックス 「アルディラが、普段何を食べてるのかってことだよ」
アルディラ 「・・・・・・」
レックス 「ほら、融機人って生き物と機械の中間の生命体だから・・・」
アルディラ 「もしかして、私が他の同朋たちのように、電気やオイルを動力にしてると思ってた?」
レックス 「うん」
アルディラ 「・・・っ!」
レックス 「あだっ!?」
アルディラ 「融機人について、ちゃんと理解してるの? 機械と融合した人って意味なのよ? まったく・・・それは、確かにそういうものだけでも、機能を維持することはできるけど・・・」
レックス 「なあ、アルディラ さっきの、遺跡での話なんだけど・・・」
アルディラ 「ごめんなさい そのことについては今は、触れないで」
レックス 「え?」
アルディラ 「ファルゼンに知られてしまった以上は、多分なんらかの処罰が私に下されるでしょうね。そうなった時、貴方に累が及んでしまったら、それこそ、私のしたことは無駄になるわ」
レックス 「アルディラ・・・」
アルディラ 「身勝手でごめんなさい」
レックス 「いいんだよ! それより俺にできることがあったら遠慮しないで言えよ。俺のせいで、君が罰を受けるなんておかしいと思う」
アルディラ 「優しいのね・・・ その気持ちだけ受けとっておくわ」



アルディラ・・・




▼第7話

アルディラ 「もし、正面から戦っていたなら 勝ったのはおそらく帝国軍だったでしょうね・・・アズリアという女が構築していた布陣はそれほど完璧だった。貴方は最初からそのことを予想していたんじゃなくって?」
レックス 「買いかぶりだよ 俺はただ、無意味な戦いを避けたかっただけなんだ。彼女の思惑が外れたのは、偶然の結果さ」
アルディラ 「そう・・・ それじゃ、そういうことなんでしょうね。でも、そのおかげで犠牲を出さずにすんだこと、私は忘れないわ。貴方の、身勝手がみんなの命を救っていたことをね・・・」



まいったな・・・




▼第8話

アルディラ 「スキャンの結果は特に問題はなしよ 倒れた原因は疲労。しばらくは安静が必要だって」
レックス 「ありがとう わざわざ、お見舞いにきてくれて」
アルディラ 「見舞い・・・ねぇ? どちらかといえば、ひっぱたいて思いっきり説教してやりたい気分なんだけど」
レックス 「う・・・っ」
アルディラ 「まったく、どうして貴方は、もっと自分を大事にしないの!? 1歩間違ったら殺されていたのよ?」
レックス 「ご、ごめん・・・」
アルディラ 「誤るくらいなら自重してちょうだい 今日のところは帰るけど・・・次の診察の時に、クノンと二人で徹底的にしぼってあげるから覚悟しときなさい」
レックス 「いい・・・っ!?」



なんか、別の意味で治療を受けに行きたくないかも・・・




▼第9話

アルディラ 「昼間のこと?」
レックス 「うん、なんだか余計なことを話させちゃった気がして、きちんと謝っておきたかったんだ」
アルディラ 「あのね・・・わざわざ、そうやって蒸し返したら、逆効果になるって考えには至らなかったの?」
レックス 「あ・・・!そ、そそっ、そういうつもりじゃないんだよ 本当だってば!」
アルディラ 「わかってるわ 一応、釘を刺しただけ 別に気にしないわ。まったく・・・ にぶいところまで本当に、そっくりなんだから・・・あの場所には、前からずっと行っておきたいと思っていたのよ。
だけど、一人ではね やっぱりこわかったの。あんなふうに感傷的になっちゃうことがわかっていたから」
レックス 「それで、俺たちと一緒に・・・」
アルディラ 「ええ、おかげでマスターが好きだった景色を見られたわ。そのうえに、私なりの思い出も刻むこともできた・・・ 貴方たちと一緒にね?」
レックス 「そっか・・・」
アルディラ 「今日のこと、きっと私は忘れないわ しっかり記憶に焼きつけておくから」
レックス 「今日だけじゃなくてさ 思い出は、これからも増やしていこうよ。あふれだすくらいいっぱいにさ?」
アルディラ 「そうね・・・ そうだと・・・ いいわよね・・・」



でも・・・ それでもね・・・ 消すことのできないものはあるのよ・・・





▼第10話

レックス 「気持ちの整理をつけるまで、会うことはできない、か・・・」

(無理もないよな 俺だって、何度もためらって、ここまで来たんだから・・・
せめて、今夜ぐらいはそっとしておいてあげよう・・・)





▼第11話

レックス 「さっきはありがとう。君が力を貸してくれなかったら俺は多分、助からなかった」
アルディラ 「お礼なんて・・・。そもそも私は、貴方を犠牲にしようとしたのよ? なのに・・・」
レックス 「それでも 助けてもらったことに変わりはないじゃない?」
アルディラ 「それはそうだけど・・・」
レックス 「過去のことは忘れようなんて、口では簡単に言えちゃうけどさ。忘れられないことは誰だってあるし、起きた出来事までは消しようがないしね。だから、誰もがこだわりをもって生きているんだって俺は思ってるよ」
アルディラ 「・・・・・・」
レックス 「こだわってきた自分まで否定しなくてもいいんじゃないかな? 君が必死だったのは 周りにいた俺たちだってちゃんとわかっている。過去に引きずられて今を見失うのはよくないことだけど、ちゃんと前を見て進んでいけるのなら、こだわったって構わないと思うんだ」
アルディラ 「そうね・・・いきなり、全てを作り替えるなんてことできないものね」
レックス 「抱えてるものを捨てろなんて、無理は言わない。ただ、これからは俺たちも一緒になって支えてあげられると思うから・・・手伝わせてほしいんだ」
アルディラ 「ありがとう その言葉だけで すごく気持ちが楽になった気がするわ。本当に・・・」



約束するよ・・・アルディラ・・・




▼第12話

アルディラ 「あの時に見た光景と同じだったわ。過去の戦いで見てきた光景と同じだった・・・なにもかもが真っ赤に染まって・・・。苦しむ者の声と、それを嘲笑う者の声が、幾重にも反響して忘れられない・・・」
レックス 「あれは・・・ひどすぎた・・・」
アルディラ 「あんな日々を、再び繰り返させるわけにはいかないわ。じゃないとあの人がやってきたこと全てが無駄にされてしまう! それだけは、絶対に許せないから・・・戦うわ・・・護人として、彼らを野放しにはできない」
レックス 「アルディラ・・・」
アルディラ 「憎しみを理由に戦うなんて貴方にすれば、許し難いことなのかもしれないけれど、今度ばかりは、本気でいかせてもらうから。止めても、無駄よ」



止めたいけど・・・ そんな権利、俺にはないよな・・・




▼第13話

アルディラ 「今にしてみれば 全てが、必然だったと理解できるわ。遺跡の封印が失敗したのも結界が消滅したのも、全てあの男の仕業。遺跡が沈没したのもイスラという新たな鍵を手にすることができたから・・・
うかつだった・・・」
レックス 「仕方がないさ 俺だって、予想もつかなかったんだ。悔やむより、これからどうするか考えよう」
アルディラ 「そうね・・・剣の激突は封印の解放につながる、か。あり得ない話じゃないわ。
実際、貴方が剣を使うことによって、過去の亡霊たちが次々と復活したんだもの。それは、彼らの魂を縛りつけている、島の力の復活も意味しているのだから、あの地震も、きっとその兆候のひとつね。彼と貴方が戦えば その進行は、加速度的に増していくわ・・・」
レックス 「だけど・・・戦わないわけにもいかない。イスラは剣の力を使うことに、なんのためらいもない。際限なく力を引き出して、きっと封印を壊してしまう。それを止められるのは 多分、同じ力の剣を持つ俺だけのはずだから・・・」
アルディラ 「だけど・・・っ」
レックス 「心配しないで 要は、俺が使う力をできるだけ抑えて戦えばいい」
アルディラ 「手加減して戦える相手じゃないわ!」
レックス 「でも、そうしないと島のみんなを守れない」
アルディラ 「・・・!」
レックス 「だったら、俺はやって見せるよ 絶対に・・・」
アルディラ 「どうして・・・ どうして、貴方はそこまでして私たちを・・・」
レックス 「好きだから。この島の暮らしも、みんなのことも、俺、大好きだから。大切だから。だから、守りたいんだ」
アルディラ 「それだけの理由で・・・」
レックス 「それに、もう泣き顔は見たくないんだよ。君には、笑顔のままでいてほしいから・・・」
アルディラ 「あ・・・」



大丈夫。きっと、なんとかしてみせるから




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