タコイベント



▼第10話

スカーレル
「・・・ダメっ! やっぱり、アタシ耐えられないっ!」

オウキーニ 「今さら、泣き言なんて聞く耳もちまへんで」

カイル 「ふふふふ・・・さあ、観念しな?」

スカーレル 「きゃあぁぁぁっ! イヤあぁぁぁ〜っ!!」

アティ 「三人とも・・・なにしてるんですか?」

スカーレル 「あっ、センセ助けてよぉ〜っ! カイルたちったら
嫌がるアタシに無理矢理…っ

カイル 「気色の悪い言い方をするんじゃねえ!」

オウキーニ 「ウチらはただ、こいつを食べてもらおうとしただけなんですって」

アティ 「う゛・・・っ、そのぬるっと赤くてふにゃふにゃしたシロモノは・・・」

カイル 「タコだぜ?」

オウキーニ 「ゆでダコですわ」

アティ (ま、丸ごとゆでたのが、お鍋いっぱい あわわわ・・・っ)

スカーレル 「そんな気色の悪いもの、アタシ絶対食べないからッ!」

オウキーニ 「なに言いますの!?見てくれで判断してたら、タコに失礼でっせ!」

カイル 「そうだぜ?歯ごたえがあってなかなかイケるのに」

アティ 「た、食べてます・・・思いっきり・・・」

カイル 「ほれ、アティ お前もどうだ?」

アティ 「い、いいですっ!
遠慮しますっ!!

スカーレル 「でしょ!?普通は、食べたりしないわよねっ!?」

アティ 「はい・・・見るぶんにはともかくやっぱり、食べるのはちょっと・・・」

オウキーニ 「シルターン自治区では食材として当たり前に使うんやけどなあ?」

アティ 「そうなの!?」

スカーレル 「食文化の違いね・・・」

カイル 「もったいねえなあ こんなにうまいのに」

オウキーニ 「ホンマですわ」

アティ 「そう言われてもやっぱり、見た目がちょっと・・・」

オウキーニ 「見た目、でっか・・・うーん・・・」





▼第12話

カイル 「おお、先生 ちょうどいい時に来やがったな」

オニビ 「ピーピピー♪」

アティ 「いい時、ですか?」

ベルフラウ 「オウキーニの新しい料理が試食できるんですって」

オウキーニ 「ふっふっふ はっきり言って自信作でっせ」

アティ 「それは楽しみですね♪どんな料理か、早く教えてくれませんか?」

オウキーニ 「・・・これですわ!」

アティ 「きゃあっ!?」

ベルフラウ 「げっ!?」

カイル 「おぉーっ!?」

オウキーニ 「とれたてピチピチのタコを、鮮度を生かし調理した一品・・・「タコ刺し」や!」

アティ 「う、動いてる・・・っ 
動いてますよぉ!?

オニビ 「ピピ〜!?」

オウキーニ 「活け造りですから当然ですやん」

ベルフラウ 「へえ・・・そういうものなの?」

カイル 「どれどれ?」

アティ
(食べ・・・っ!?)

カイル 「おっ、こりゃなかなかイケるな 塩加減の中に微妙な甘みが・・・」

オウキーニ 「タコ本来の味や。 素材の風味を生かすのが、シルターンの料理なんですわ」

アティ 「だからって、生なのはちょっと・・・」

オウキーニ 「ゆでダコは固くて食べづらかったさかい不評やったけど、これはいけるやろ。 さ、先生らもおひとつ?」

アティ 「いえ、ちょっと ははは・・・」

ベルフラウ 「あら、本当ですわ。 意外とおいしい」

カイル 「だろ?」

オニビ 「ピー、ピピー!」

アティ (うわわわ・・・)

カイル 「おいおい、好き嫌いはよくねえぞ」

アティ 「
それ以前の問題です!ぴくぴく動いてるのを食べちゃうなんて」

オウキーニ 「ダメでっか・・・これでも、高級料理のひとつなんやけどなあ」

アティ 「そもそも、見た目が問題って言ったことがちっとも解決されていませんよ・・・」

オウキーニ 「ぴくぴく動く様子が新鮮な証拠で、食欲をそそると思うたんですけどなあ・・・」

アティ 「(あはははは・・・食べ物に対する感覚がズレてる・・・)と、とにかく、ソレを食べるって習慣自体が一般的じゃないんです。 ですから・・・」

オウキーニ 「負けまへんで・・・」

アティ 「え?」

オウキーニ
「こうなったら意地や! 一料理人としての誇りにかけて・・・誰もが喜んで食べる究極のタコ料理を作ってみせますわ!! 虐げられ続けてきたタコたちのために!」

ベルフラウ 「それは楽しみだわ」

オウキーニ 「やりまっせえ〜!!」

アティ 「は、ははは・・・」

オニビ 「ピー、ピピー!」





▼第16話

スバル 「おっちゃん、おかわりまだぁ!?」

ソノラ 「こっちのお皿も、もう空っぽになっちゃったわよー?」

オウキーニ 「へいへい! 急いで焼いとりますさかい もうちょびっとだけ待ったってなー」

ジャキーニ 「もっと気合い入れてひっくり返さんかい! この晴れ舞台のためにワシらは、
汗と涙の特訓を越えてきたんじゃろうが!?

海賊
「へい、船長!!」

アティ (いい匂いにつられて来てみたけど、すごい騒ぎですね・・・)

パナシェ 「あれ、先生もオウキーニさんの新しい料理、食べにきたの?」

アティ 「パナシェくんはもう、食べたの?」

パナシェ 「うん、熱かったからたくさんは食べられなかったけど、外はカリカリで中はトロトロでおいしかったよ♪」

アティ 「(うーん、どんな料理か想像もつかない・・・)だけど、この調子じゃ口に入りそうにもないですね・・・」

カイル 「なーに、ちょっと待ってりゃ、すぐに追加ができあがるさ」

アティ 「そんなに簡単に作れるものなんですか?」

カイル 「ああ、焼きたてを食うのが、一番うまいらしいぜ。 そうだろ、ジイさん?」

ゲンジ 「うむ、ワシの世界ではそれが当然じゃな」

アティ 「ということは・・・もしかして、作ってるのは、ゲンジさんの世界のお料理???」

オウキーニ 「はいな! 追加 焼き上がったでえ!!」

スカーレル 「きゃーっ♪ 待ってましたーっ!」

アティ 「わわっ!? 私も、急いでもらってこないと・・・」

ベルフラウ 「慌てなくても・・・ほら、貴方のぶんももらってきたわよ」

アティ 「ありがとう、ベルフラウ! じゃあ、早速・・・」

パナシェ 「どう?」

アティ 「おいしい!? 本当に、カリカリでトロトロ・・・」

カイル 「そうか? うまいか?」

アティ 「丸く焼いた生地の中にうま味がたっぷりと詰まってて・・・それに、この具! 不思議な歯ごたえが後を引くカンジで」

ゲンジ 「ほうほう、歯ごたえがなあ・・・」

ベルフラウ 「初めて味わう味覚のはずだものねえ」

アティ 「それで、この料理 なんて名前なんですか?」

ゲンジ
「タコ焼きじゃ」

アティ 「タコヤキ・・・って、ええええぇぇぇっ!?」

カイル 「ああ、お前が言ってた、赤くて、ふにゃっとしてるアレのことさ」

ベルフラウ 「ふふふ、意外とイケるでしょ?」

オウキーニ 「どや? 食うてみたら そんなに悪いもんやあらへんかったやろ?」

アティ 「そうですよね・・・食わず嫌いだったってこと、素直に認めます。 こうして食べてみておいしかったのは事実ですものね」

ベルフラウ 「でしょ?」

オウキーニ 「よっしゃ♪ これでようやくタコの名誉を挽回できましたでぇ!」

カイル 「これも、ジイさん あんたのおかげだな?」

ゲンジ 「なぁに、ワシも久々に故郷の料理を食わせてもらえたんだからな」

オウキーニ&ゲンジ「わっはっはっはっは!」



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