マグナ×アメルED


メルギトス 「馬鹿な・・・?私ノ言葉デ意ノままニ操られていた、愚かなにんげんガ・・・
感情ニよってたやすく翻弄される、弱い心ノにんげんガ・・・ッ!こノ私ヲ・・・倒すトいうノか・・・
機械魔めるぎとすヲ倒すトいうノカァァァァァァッ!ナゼダァァァァッ!」

マグナ 「だから、言っただろレイムさん・・・貴方は人間のことをなにもわかっちゃいないんだって・・・」

ネスティ 「人間の心は、けして言葉や数式で表せるものじゃない誰にも、理解することなんてできないものなんだ・・・」

アメル 「だからこそ、予想もできない奇跡を起こす力さえ秘めている。レイムさん・・・奇跡はね、運命さえも変えてしまうんですよ」

メルギトス 「にんげんノ・・・ッ、ココロ・・・ッふふ、フハハッ!ひャーっはッハッハ!
たしかに・・・私は、解ってなかったようですねえ・・・ですが・・そんな私にも意地というものがあります。ウオオオオオオオォォォォォォッ!!!!」

マグナ 「!?」

バルレル 「こいつは・・・っ!源罪じゃねェかッ!!」

メルギトス 「くくくく・・・っ、その昔、楽園だったリィンバウムが・・・争いの絶えない世界に変ったのは、こいつのせいですよ・・・さあ、広がるがいい!私の身体に蓄積された黒き源罪よッ!
我が命と引き替えにこの世界に、さらなる争いの種をまき散らすのだアァァッ!!」





マグナ 「このままじゃ、また同じことの繰り返しになる・・・止めないと・・・っ!」

アメル 「マグナ、無茶はやめて!メルギトスの身体から放たれているのは強力な邪念の塊です。戦いで消耗しきった今の貴方の状態じゃ、近づく前にその毒にやられてしまう!!」

マグナ 「だからって、このまま指をくわえて見ているなんて・・・俺はイヤだよ!ちくしょう・・・っ、ちくしょおォォッ!!」

アメル 「あたしが・・・やってみます・・・」

マグナ 「アメル?」

アメル 「天使アルミネの魂を持つ、あたしだったら、源罪の風を浴びても平気なはず・・・だから、あたしが止めてみせます!」

ネスティ 「・・・待つんだ!僕にはお見通しだぞアメル・・・メルギトスによってこの森の結界が破壊されてしまった時から、君の天使としての力は徐々に失われようとしているんだろう」

マグナ 「!!」

アメル 「えへへ・・・バレちゃってたんだ、やっぱり・・・でも、平気ですよ。まだ、完全に消えてはいないですし・・・がんばれば、きっとなんとかなる・・・ううん、絶対なんとかしてみせますから!」

マグナ 「もしも、天使の力を使い切ってしまったら、アメルはどうなるんだ・・・?」

アメル 「それは・・・消えてしまう、かもしれないですね・・・うん・・・」

マグナ 「ダメだ・・・っ!俺は、絶対にアメルを行かせないっ!!だって、それじゃまた過去の過ちを繰り返すことになるだけじゃないか・・・世界が救われたって、そんな結末なら・・・俺はちっともうれしくないよ・・・ッ!」

アメル 「マグナ・・・聞いてくださいお二人とも・・・ばらまかれた源罪は、長い時間をかけて人々を蝕んでいっていずれまたメルギトス復活の力となってしまうでしょう。今、止めなければ、また同じことの繰り返しになるの。あたしなら・・・それを止めることができるんです」

マグナ 「でも・・・っ!」

アメル 「困らせないで、マグナ。あたしだって本当は恐いの・・・でもねマグナ、貴方のいる世界だけから守りたいんだよ」

マグナ 「アメル・・・っ」

ネスティ 「マグナ、それにあたしは貴方と約束をしてるじゃないですか」

マグナ 「あ・・・一緒に・・・俺の生まれた街まで行くって・・・」

アメル 「あたし、今からすごく楽しみにしてるんです。貴方との旅を。そのためにもきちんと終わらせておかなくちゃ・・・そうでしょう?マグナ」

マグナ 「う・・・うん・・・」

アメル 「ネスティさん・・・ううん、ネスティって呼ばせてくださいね」

ネスティ 「もっと、早くにそうやって呼び捨てにしてほしかったよ・・・本当に」

アメル 「彼のこと、よろしくお願いしますね。ネスティなら・・・安心できるから・・・」

ネスティ 「引き受けたよ、アメル」

アメル 「それじゃ、行ってきますね」

マグナ 「アメルっ!やめろっ!戻ってくるんだっ!!」

ネスティ 「マグナっ!君も男なら、きちんとわきまえろっ!」

マグナ 「離してくれよッ!俺っ、まだ・・・アメルに、好きだって言ってあげてないんだよ!最後まで守るって約束したのに!これじゃ、あべこべじゃないかぁっ!アメルうぅぅぅっ!」





アメル 「あたしは・・・あきらめない・・・。絶対にっ!!」

メルギトス 「がアァァァァッ!!ア、アルミネぇぇ!最後の、最後までッ邪魔するかァッ!!なぜだっ!?そこまでして、ナゼニンゲンを・・・ッ、護るう・・・ッ!?」

アメル 「好きだから・・・豊穣の天使アルミネも、レルムの村の聖女アメルも・・・人間のことが・・・この世界のすべてが大好きだから・・・!愛しいから・・・!
そして・・・それを教えてくれたみんなのことを護りたいから、あきらめないの。
弱虫だったあたしに、立ち向かう勇気をくれた人たちのことを、護ってみせるの!!」

メルギトス 「り、理解・・・っ!できな・・・な・・・い・・・ッ!
自分が滅びて・・・っ、それで、貴方は幸せだと言えるのですか・・・っ?生きてこその・・・っ、しあわせ、じゃないのです・・・かッ!?」

アメル 「そんなことないですよ、レイムさん・・・あたし・・・しあわせですよ・・・このまま・・・とけてしまいそうなくらいに・・・・」

メルギトス 「こいつ・・・すでに・・・息絶えて・・・っ!?ぎ・・・ッ!ギィヤあああぁぁぁァァァァァ〜ッ!!!!!!」







ごめんね・・・

マグナ・・・





あたし、約束・・・





守れないみたい・・・








マグナ 「アメルっ!また・・・っ、これじゃ、また同じじゃないか!繰り返しになっただけじゃないか!イヤだよ・・・っ!アメル・・・っアメルぅぅ〜ッ!!!」




(中略)





ケイナ 「いったい、なにが起こったっていうの?」

バルレル 「お、おいッ!ありゃあ、いったいなんなんだッ!」

フォルテ 「こいつは・・・あの遺跡が、そのまま樹になったのか!?」

ミニス 「見てっ!この樹の葉っぱが、あの黒い風をどんどん吸い取ってる!!」

ロッカ 「それだけじゃない。この光の雫もあの樹から降り注いでいるんだ」

リューグ 「そんなことよりも、マグナたちはいったいどこにいったんだよッ!?」

バルレル 「おいッ!ニンゲン!?返事しやがれ・・・マグナッ!?」

マグナ 「ここだよ・・・」

バルレル 「ケッ!無事ならさっさと、ツラ見せにきやがれッ!」

マグナ 「うん・・・俺たちは無事だよ、だけど・・・っ!!」

ケイナ 「ねぇ、アメルは?あの子は、どこにいるの?」

マグナ 「・・・・・・」

フォルテ 「まさか・・・!」

ネスティ 「アメルは・・・っ、メルギトスを止めるために・・・っ、消滅するのを覚悟で、最後の力を・・・!」

バルレル 「は、はははッ、う・・・ウソだろッ?」

マグナ 「守ってくれたんだよ、アメルは・・・人間のことが好きっていうだけの理由で。今度もまた、あの時と同じように・・・こんな姿になってまで、俺たちのこと、守ってくれたんだよっ!」

ケイナ 「それじゃ、この樹はあの子が・・・!?」

マグナ 「アメル・・・・っ、う・・・っ、うああぁぁぁぁっ!!アメル・・・っアメルうぅ〜っ!」









戦いは終わった・・・

源罪の嵐によって、リィンバウムに混沌と破壊をもたらそとした

メルギトスの最後の企みは、彼女の命がけの行動によって完全に潰えたのだ・・・

禁忌の森に隠されていた忌まわしき召喚兵器たちは、永遠に抹殺されて

そこには、今・・・・

一本の巨木がそびえている

聖なる大樹

人々が、その樹のことをそう呼ぶようになってから

二度目の季節が・・・・巡ろうとしていた・・・・








<聖地の森>


ネスティ 「マグナ?まったく・・・!さっきから、何回呼んだと思ってるんだ」

マグナ 「ごめん、ごめん・・・」

ネスティ 「まあ、今日に限っては仕方がないがな。アメルのことを考えていたんだろう」

マグナ 「うん・・・」

ネスティ 「メルギトスは滅び去り、戦いの爪痕も、すでに消えつつある・・・だが、僕たちの戦いはまだ終わってはいない。あの日から、ずっと続いている・・・まして・・・マグナ。彼女のことを誰よりも好きだった、君にとってはな・・・」

マグナ 「あの日の今日・・・アメルはいなくなってしまったんだよな。笑顔のまま・・・永遠に・・・」

ネスティ 「マグナ・・・望みを捨てるな!そのために、僕たちはここにいるんだろ!彼女を助ける方法は必ずあるはずなんだ!きっと・・・!それに、今日はみんなが彼女に会いに来る日でもあるんだぞ、しっかりするんだ」

マグナ 「うん・・・わかってるよ。わかってはいるんだけどさ。だけど・・・っ」

ネスティ 「まだ、すこし時間があるな・・・。一足先に・・・彼女に挨拶をしに行くか?」

マグナ 「え、でも・・・」

ネスティ 「そんな、沈んだ顔のままでは、みんなに余計な心配をかけるだけだからな。アメルと会って・・・叱ってもらってこい」

マグナ 「うん・・・」



<聖なる大樹>



ネスティ 「早いものだな・・・あれから、もう季節がふたつも巡っていったなんて・・・」

マグナ 「聖なる大樹・・・この樹が、アメルだって知っているのは、たぶん俺たちだけ・・・あの時から、ずっと邪悪な魔力を吸収して浄化し続けているのも」

ネスティ 「だからこそ・・・僕たちはこの樹の、いや、彼女の護人になったんだ・・・いつか、この樹の中で眠りについている彼が起きるのを信じて」

マグナ 「あははは・・・っ、起きるかどうかさえもわかってないのにな」

ネスティ 「不甲斐ないな・・・これだけの月日を使って、調べているというのに・・・手がかりさえも・・・つかめずに・・・ッ」

マグナ 「ネス・・・?ごめん、俺・・・自分1人だけ、勝手に悲しんでると思って。ネスの気持ち・・・考えてなかった・・・」

ネスティ 「いいんだ・・・それよりも・・・笑ってあげなくちゃな。彼女のために・・・僕たちは、笑っていなくちゃいけない。彼女の分まで、幸せにならなくちゃ・・・」

マグナ 「うん・・・」





聞こえるかい、アメル

君の愛したこの世界は今もここうして息づいているよ

相変わらず、俺たちは不器用な生き方ばかりしかできてないけど・・・

でも、君は言ってたよね

人間は自分自身の力だけで変われるんだって・・・

そんな人間のことが愛しいって・・・

だから、俺も信じるよ

いつかきっと・・・

誰も悲しまずにすむ未来がこの世界に訪れるって

だから・・・

ずっと、ずっと

この場所から、俺たちを見守っていてくれるかい?

なあ、アメル・・・




ネスティ 「そろそろ戻ろう。みんなも、じきに集まってくるだろうし。バルレルだけに応対させておいたら心配だからな」

マグナ 「うん、それじゃ・・・」

いるよ・・・

マグナ 「えっ?」




ここに・・・

ここに、いるよ




ネスティ 「どうしたんだ?」

マグナ 「この声は・・・まさか・・・っ?」




やくそく・・・したから・・・

かえって・・・

きたんだよ・・・




マグナ 「アメルの声だ・・・っ、間違いないっ!」

ネスティ 「なにを言ってるんだ!僕には、なにも・・・」




ほら、ここ・・・

あなたの・・・

すぐ、そばに・・・




マグナ 「アメルっ!」

ネスティ 「マグナっ!どこへ行くんだ!?」




マグナ 「アメル・・・っ!」

ネスティ 「そんな・・・信じられない・・・。僕まで・・・幻を見てるとでもいうのか・・・!?」

マグナ 「幻なんかじゃない!!アメルは・・・っ、帰ってきてくれたんだ。俺とした約束のために、帰ってきたんだよ!」

アメル 「ん・・・っ、ふぁ、あ・・っ」

マグナ 「アメルっ」

アメル 「あ・・・っ、マグナ・・・おはようございます」

マグナ 「お、おはよう・・・っ」

アメル 「あたし、ちょっと寝坊しちゃったみたいですね・・・お腹すていてるでしょ?ごめんね、すぐにご飯の用意しますから」

マグナ 「いいんだよ・・・っ、今、俺・・・っ、胸がいっぱいだからっ、いいんだ・・・っ!」

アメル 「どうしたんですか?なにか、悲しいことがあったんですか?」

マグナ 「アメル・・・っ!!」

アメル 「あ・・・っ、は、恥ずかしいですよ。マグナ。ネスティ、見てるよ。それに、あたし服をどこかでなくしたみたいで・・・っ、裸、だから・・・」

マグナ 「好きだよ・・・!アメル・・・っだから、もう絶対にどこへも行かせない!ずっと、このまま俺の側にいてくれよ、お願いだから・・・っ」

アメル 「うん・・・あたしも、貴方のこと好きですよ・・・だから・・・もう、泣かないで。あたしの大好きな貴方の笑顔を、見せてください・・・ね」

マグナ 「うん・・・っ」

アメル 「他のみなさんは?」

マグナ 「もうすぐ、会えるよ。すぐに・・・。きっと、君のことをみんなも・・・待ってたから・・・」

アメル 「大変!それじゃあお出迎えの準備をしないと・・・手伝ってくれますか?マグナ」

マグナ 「ああ、もちろんだよ!」

アメル 「それじゃあ、急いで戻りましょう」

マグナ 「あっ、アメル!」

アメル 「はい・・・」

マグナ 「ひとつだけ、まだ君に言いたいことがあったんだ・・・」







おかえり・・・







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