レナード×トリス夜会話
13話〜ED


▼13話

レナード 「俺様、パス・・・」
トリス 「ええっ?だってせっかくのお祭りなのよ!?」
レナード 「なにが楽しくてわざわざ、混雑の中に行かにゃならんのだ。それくらいならこうして寝てたほうが、俺様ハッピー・・・」
トリス 「・・・ジジくさい」
レナード 「!・・・今、お前さんなんつった?」
トリス 「だって、そうじゃない。人混みがイヤとか、寝てたほうが幸せとか言ってるし。だいたい、こんな早い時間から寝るなんて小さい子か、お年寄りぐらいじゃ・・・」
レナード 「ストーップ!そうまで言われちゃ後には引けねえな。俺様のプライドに賭けて、行ってやろうじゃねえか。祭りに!」
トリス 「いや、誇りまで賭けなくてもいいんですけど・・・」


<大通り>


レナード 「しかし、お前さんよく食うねえ・・・」
トリス 「だって、屋台の軽食って、こういう時しか食べられないもの」
レナード 「ま、たしかに小腹を満たすような食い物屋の数は少なくねえからな。デリも、スタンドもバーガーショップも無いときてる。俺様の好物なんか当然のごとく存在してねえしなあ」
トリス 「レナードさんの好物って、なんなの?」
レナード 「コーラだ」
トリス 「こーら???」
レナード 「俺様の世界じゃ、ごくポピュラーなドリンクなんだがな。真っ黒な液体でな、シュワシュワと泡をたててる。甘いんだが、喉ごしに弾ける泡が刺激的でじつにさわやかなテイストなのさ」
トリス 「なんか、想像がつかないけど・・・」
トリス (聞いてると、あんまし身体にはよくなさそうにも聞こえるわね?)
レナード 「うーん、あのチープな味が恋しいぜ・・・」


<浜辺>


トリス 「あっ、花火だ!」
レナード 「ほう、見事なファイアワークスだな」
トリス 「そっちの世界にも花火はあるんだ?」
レナード 「ああ、そういや、最後にこいつを家族そろって見た時は・・・あいつはまだ、ミニスよりちっちゃい子供だったなあ」
トリス 「あいつ?」
レナード 「俺様の一人娘だよ」
トリス 「えっ?レナードさん結婚してるのっ!?」
レナード 「そんなに驚くこともねえだろう?ほれ、こいつが娘のレイチェルだ」
トリス (へえ・・・この似顔絵のとおりなら、かなりの美人よねぇ)
レナード 「写真だけで、本人とはもう何年も会ってはいねえが、お前さんと同い年のはずだよ」
トリス 「でも、会ってないっていうのは?」
レナード 「・・・家族の事情さ」
トリス 「あ・・・ごめんなさいっ!」
レナード 「いいって、いいって。気にすんな。今の状況から考えりゃあいつと俺様が別々に暮らしてたのはビンゴだったんだしよ。ただ、な。こうなるんだったら、もうちっとばかし親らしいことをしてやりゃよかったなあ」
トリス 「レナードさん・・・」




▼14話

レナード 「血がつながってなくても、親は親か・・・ああ言ってもらえりゃ人の親としては本望だろうなあ。俺様にゃ、望むべくもない言葉だがね・・・」
トリス 「レナードさん?」
レナード 「いや、こっちの話しさ。それより、どうする?嬢ちゃんを守るって旅の目的は、これで一段落したわけだが」
トリス 「これで終わったとはとてもいえないわね。アメルを狙ってる連中は、あきらめたわけじゃないんだし」
レナード 「だろうな・・・イオスって小僧にあれだけのセリフを叩きつけちまったんだ。向こうだって黙っちゃいねえだろう」
トリス 「言った以上、責任はきちんととるわよ」
レナード 「決着をつける、ってか。頼もしいことだが、あんまり無茶はするんじゃねえぞ」
トリス 「ええ、わかってるわ」


まずはおじいさんの話しを聞いてみる・・・すべては、それからよ




▼16話

レナード 「いやあ・・・若いってのは、やっぱいいねえ?」
トリス 「な!?まさかレナードさん・・・」
レナード 「覗かれて困るようなシーンがあったのか?」
トリス 「う・・・」
レナード 「うはははっ、こうも簡単に誘導尋問に引っかかるとはなあ」
トリス 「レナードさんっ!!」
レナード 「まあまあ、そんなに怒るなって・・・」
トリス 「むぅ・・・」
レナード 「ふぃーっ・・・しかし、アレだな?それだけ感情を顔に出せるんなら、もう大丈夫だな・・・」
トリス 「・・・え?」


もしかして・・・それを確かめるためにワザと・・・?




▼17話

レナード 「まんまといっぱい食わされちまったな」
トリス 「ええ・・・あたしたちと戦うことまで計算していたなんて」
レナード 「知能犯・・・てよりも、ありゃあ俗に言う劇場型の犯罪者だなあ」
トリス 「劇場型?」
レナード 「・・・ふぃーっ、まぁ、アレだ。自分で自分のやってることに酔いしれちまうタイプってこったな。やっこさん、心から楽しんでいたろう?」
トリス 「うん・・・本当に楽しそうに笑ってた・・・」
レナード 「多分、あの野郎は罪の意識なんか感じてねえ。嬢ちゃんは事情があるかもしれねぇってかばってたが・・・俺様にゃあわかっちまったのさ」
トリス 「・・・・・・」
レナード 「あの野郎は、そうした他人の同情に平気でつけこむことができる。嬢ちゃんのこと、気をつけてやれよ?」
トリス 「ええ・・・」


罪人を相手にしてきた人の言葉なんだもの。多分、正しいわよね、でも・・・




▼18話

レナード 「国家のため、ね・・・ナショナリズムってのは、どうも俺様の肌にゃあわねえなぁ」
トリス 「え?でもレナードさんのやっていた刑事ってものは、たしか国に属して犯罪者を捕まえるのが仕事なんでしょ?」
レナード 「肩書きはそうだがな。じつは俺様は一度もそんなこと思ったことないんだよなあ」
トリス 「ええ〜っ!?」
レナード 「ふぃーっ、ま、アレだ?建前と現場の認識は違うってこった。俺様としちゃ、治安を維持するために犯罪者を取り締まるって意識よりも、そいつの被害にあった連中の無念をなんとか晴らさせてやりたいって気持ちが強いのさ」
トリス 「それって人としては正しいと主言うけど、刑事として正しいの?」
レナード 「ハハハハ・・・いいトシして、俺様がまだ現場を走り回ってることから考えりゃ、あんま正しいとは言えねえかもなぁ?」
トリス 「むうぅ・・・」
レナード 「ま、だとしても、改めようとする気持ちは俺様にはさらさらないけどな」


うん・・・なんか、そのほうがレナードさんらしい気がするかも・・・




▼19話

レナード 「しかしこの世界のゾンビってのは犯則だぜ」
トリス 「反則って?」
レナード 「ああいった動く死体はふつう頭が弱点だってルールになってるもんなのによ。完全にやっつけるまで息の根が止まりゃあしねぇ」
トリス 「それも、ほらー映画の知識なの?」
レナード 「いや、こいつはむしろテレビゲームってもんのセオリーさ」
トリス 「てれびげーむ?」
レナード 「ああ、娘にせがまれて買ってやったんだが、これが結構遊び甲斐があってなあ・・・」


とはいえ・・・遊びの約束ごとを現実に反映しろってのが無茶じゃないかしら?




▼20話

レナード 「ふぃー・・・っ、ガレアノの正体が悪魔だったとはなあ?道理で、撃たれても転落しても、死なねえはずだ」
トリス 「感心してる場合じゃないよ、レナードさん」
レナード 「わかってるって!こう見えても俺様それなりに動揺してるんだぜ?」
トリス 「むー・・・」
レナード 「しかしこんなコトになるんだったら、寝てばかりいないでたまには日曜のミサぐらい出ておきゃあ良かったかもな?」
トリス 「?」
レナード 「・・・っと?そうかこっちにゃあ教会なんてねえのか。だとしたら十字架や聖水なんてもんが通用するわけでもなさそうだなあ・・・」
トリス 「???」
レナード 「ま、どっちにしろ。俺様の結論はなんにも変わりゃしねえよ。デビルだろうがサタンだろうが、罪の報いは必ず受けさせてやるぜ。絶対にな・・・」


よくわかんなかったけど、最後の言葉は本気だったわね・・・




▼21話

レナード 「ふいー・・・っ、なんか、いきなりアルマゲドンって感じになってきたな」
トリス 「あるまげ・・・?」
レナード 「最後の決戦って意味さ。正義と悪の軍勢がぶつかりあう戦いでな。そして、どちらが勝っても普通の人間は滅びちまう・・・」
トリス 「レナードさん・・・」
レナード 「ははっ、まさかこういうスペクタクルに巻き込まれるとは思ってなかったぜ。普通の人間の俺様が果たして、生き延びることができるやら」
トリス 「・・・・・・」
レナード 「・・・悪いな。つい、愚痴っちまった。後悔はしてねえよ。最後まで、俺様はお前さんたちと一緒に戦うぜ。幸いなのは、もしものことがあったとしても娘にそれが伝わらねえってことだな・・・あいつの泣き顔だけは見たくねえからな」
トリス 「レナードさん・・・」


それで本当にいいの?レナードさん・・・




▼22話

レナード 「よお、どうした?」
トリス 「レナードさんこそ、どうしてこんな時間にテラスなんかに?」
レナード 「エクスの旦那からちょいといい酒を貰ったんでな。月を見ながら、一杯やることにしたんだよ。どうだ?たまにはつきあわねえか」
トリス 「え、でも・・・」
レナード 「その様子からすると眠れなくて、ここに来たんだろう?寝酒ぐらいだったらおとがめなしだぜ・・・それに今夜は、俺様も一人で飲みたくはねえんだ・・・」
トリス 「レナードさん・・・」
レナード 「ほれ、座れよ?」
トリス 「うん・・・」
レナード 「ふいー・・・っ、悪くねぇもんだな。こうしてお前さんと酒を飲むってのも」
トリス 「うん・・・」
レナード 「娘のやつはな。酒が飲めなくてな。はははは、むしろ二日酔いになるたびに酒をやめろって叱られたもんさ」
トリス 「うん・・・」
レナード 「こっちの世界に来てようやく、夢が叶ったぜ・・・こうやって、子供と差し向かいで、酒をくみかわすって夢がな」
トリス 「・・・・・・」
レナード 「俺様みたいな父親じゃ、お前さんにすりゃ迷惑かもしれねえが・・・」
トリス 「う・・・ん・・・」
レナード 「トリス?」
トリス 「すぅ・・・」
レナード 「眠っちまったか・・・ふふっ、まったく手のかかる娘だぜ?よっ、と!安心して眠るんだぞトリス。父さんが・・・守ってやるからな?」




▼ED

<聖地の森>

レナード 「・・・トリス?どうしたんだ?ははぁ、さてはまた嬢ちゃんのことを考えてたな」
トリス 「ええ・・・」
レナード 「メランコリックな気分になっちまうのもわかるがなあ・・・もうそろそろ吹っ切ったほうがいいんじゃねえか?あれから、もう2年になるんだぜ・・・」
トリス 「うん・・・」
レナード 「ふぃー・・・っ、まったく困った娘だぜ・・・ちょっと、俺様についてきな」
トリス 「え・・・?ちょ、ちょっと!レナードさんってば」

<聖なる大樹>

レナード 「んー・・・っ、さすがにここの空気はウマイなあ。ヤニで汚れちまった俺様の肺の中身まで、まっさらにしてくれるようだぜ」
トリス 「この聖なる大樹はあらゆる汚れたものを吸い取って、浄化してくれてるの・・・空気だけじゃなくて邪悪な魔力や、人間の欲望まで・・・」
レナード 「こいつのおかげでこの世界は破滅から救われたんだからな。嬢ちゃん、最後まで後々のことを考えてくれたんだろうな。きっと、お前さんの未来のためにな」
トリス 「あたしの・・・未来のために・・・」
レナード 「あー、だからな。その・・・つまり、アレだ!お前さんがそんなザマじゃ、お嬢ちゃんの立場がないだろう。違うか?」
トリス 「ええ、わかってるわ。本当はこんなこといつまでもしてちゃいけないって・・・。ネスみたいにあたしも、前向きになって生きないと、アメルだって・・・悲しむもんね」
レナード 「すまねえな。説教みたいなこと言っちまって・・・」
トリス 「いいのよ。だって・・・レナードさんはさ、あたしの父親代わりをしてくれてるんだもの。叱ってくれてね、本当にありがとう」
レナード 「トリス・・・」



レナード 「さて、と・・・そろそろ小屋に戻るか」
トリス 「ええ、そうしましょう今日のぶんの講義もしないといけないし」
レナード 「おいおい、待てよ?俺様はもう、召喚術を習うつもりは・・・」
トリス 「ダメよー、始めた以上、きちんんとやりとげなくっちゃ。じゃないと、あたしがネスに怒られちゃうわ。元の世界に帰る方法見つけるんでしょう?」
レナード 「そんなこと言ってお前さん、俺様がいなくなったら寂しいだろうが?だったら、召喚術はマスターしないほうがきっと・・・」
トリス 「ううん、当面はその心配はないってあたし思ってるし。だって、今の調子じゃレナードさん、当分まともに召喚術を使えそうにないもん」
レナード 「な・・・ッ!?言ってくれたなぁっ、このガキぃ〜っ!」
トリス 「あはははっ♪だって、本当のことでしょー」
レナード 「ったく・・・」





ま、いいさ。お前の笑顔が見れりゃ、バカ親父ってのも悪かないか・・・






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