モナティ夜会話


▼第1話

はいけい、マスターおげんきですか? とつぜんいなくなってごめんなさいですの
モナティはいまトリスさんというひとのところにいますの
いろいろじじょうがあってしばらくマスターのところにはかえれません・・・
ですので、こうしててがみをかいて
マスターのところにとどけてもらおうとおもってます・・・


トリス 「あらっ、モナティ。 さっそく手紙を書きはじめたの? はやいわね」
モナティ 「はいですの♪ でも、難しい字が多くて・・・」
トリス 「わかんない字があったら、遠慮せずに聞きなさい」


トリスさんはやさしいひとですの
それに・・・なんだかちょっとだけマスターににてるかもしれません・・・
それでは、いったんペンをおきますです また、おたよりします
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ



▼第2話

マスター・・・たいへんなことになってしまいましたの
めがさめたらかじになってて わるいひとたちがあばれてたんですの
わるいひとたちは せいじょのアメルさんをつかまえようとしてたんですが
トリスさんたちみんなのおかげでぶじににげられました
いまはモナティのおとなりでねむってますの・・・


トリス 「アメル、ようやく眠れたみたいね?」
モナティ 「トリスさん 気がついてましたの?」
トリス 「雰囲気でね・・・でも、無理もないわ」


こぼしたなみだでぬれているアメルさんのめもとはちょっぴりはれてしまっていました
タオルでふいてあげていたら、なんだかモナティもかなしくなってきて・・・
にゅっく、ううっ ご、ごめんなさいですマスター・・・
ないてちゃ、おてがみかけないですよね だ、だから・・・
きょうはここまで つづきは、また・・・



▼第3話

はいけい、マスター このまえは、なんだかちぐはぐになってごめんなさいでした
あれからモナティたちうまくゼラムまでにげることができて
いまはギブソンさんとミモザさんのおうちにおせわになってます
なんと、このおうちにおふたりだけでくらしてるんですよ?
フィズちゃんにきいた「どーせい」ってものかもしれないですの
それはさておき・・・
ギブソンさんとはなしてたときマスターのことがわだいになりました
トリスさんはマスターのことをすごいなあってほめてくれて・・・
モナティ、とってもじまんでしたの♪


トリス 「あら、モナティ なにをニヤけた顔して手紙書いてるの?」
モナティ 「・・・ふえ?」
トリス 「そのままだとヨダレでインクがにじんじゃうわよ?」
モナティ 「ふにゅにゅっ!?」


トリスさんマスターとあったらきっとびっくりするはずですの・・・
はやく、そうなったらいいなって、モナティおもいます
それでは、またおてがみしますの
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ



▼第4話

はいけい、マスターおげんきですか?
またまた、マスターがびっくりするようなひとに、あいましたの
ミニスちゃんです おぼえてますよね?
まえとおなじで、ウォーデンのひとにおいかけられてこまっていたのを
トリスさんにたすけてもらっていっしょにいることになりました
ひさしぶりにあったミニスちゃんはなんだか、ちょっぴりおとなっぽくて
モナティ、ちょっとびっくりしました
みんなもきっとおどろくとおもいます
それでは、またおたよりしますの
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ


ミニス 「ねえ、モナティ それひょっとしてサイジェントに送る手紙?」
モナティ 「はい、そうですの」
ミニス 「あのさ・・・ ちょっとだけ、私にも書かせてくれない?」
モナティ 「ええ、いいですよぉ」


追伸 フラットのみんなへ
逃げ出したくなったりすることもありますが
私はここで、ちゃんとがんばってます
ミニスより



▼第5話

はいけい、マスター モナティですの
きょうはミモザさんのていあんで、みんなでおでかけしました
いってきたばしょはフロトしつげん、というところです
ミモザさんのひみつのばしょだけあって めずらしいおはなやいきものが
たくさん、たくさんありましたです
みんなでおべんとうをたべたり、おはなしをしていると
なんだか、マスターたちといっしょにすごしているみたいなきもちになりました
あ、でも、モナティ マスターのところにかえりたくなくなったわけじゃありません
うにゅ、えと・・・ その・・・


トリス 「モナティ、手紙を書くのはいいけど そろそろ寝ないと朝起きられないわよ? じゃああたしは、先に休んでるから」
モナティ 「あ、はいですのー!」


モナティがそうおもうようになったのはきっと・・・
トリスさんたちが、すこしずつなかよしになっているからだとおもいます
フラットにいたときとおんなじ、あったかいふんいきが
すこしずつ、みんなのあいだにできてきてるようなきがしますの
それが、モナティにはとてもうれしいんです
それではまたおたよりしますの
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ



▼第6話

はいけい、マスター モナティですの
モナティたちはあたらしいばしょをめざして、たびだつことになったです
いきさきは、ずっときたにあるというちいさなむらですの
なまえもわからないようなばしょですけど
そこにはアメルさんのおばあさんがくらしているというのです
アメルさんをぶじにそこまでおくりとどけられたら・・・


トリス 「次は、モナティを送っていく番よね?」
モナティ 「トリスさん・・・」
トリス 「あたしもさ、会ってみたくなってきたのよ。 モナティがそこまで大好きなマスターって人にさ?」


そのためにもモナティはもっとがんばるですの
だから、ときどきでもいいですからマスターもモナティのぶじをいのっていてくださいです
だいすきなマスターへ
モナティより

・・・かしこ



▼第7話

はいけい、マスターおげんきですか
ファナンというまちでモナティたちは
モーリンさんというおんなのひととおともだちになりました
モーリンさんはジンガくんとおなじくらいちからもちで
セシルさんのようにストラをつかってみんなのケガをなおしてくれました
ときどき、ふざけてゴツンされるとめのなかで、おほしがチカチカしますけど
とってもしんせつでたよれるひとです


モーリン 「お、モナティ 手紙書いてんのかい?」
モナティ 「も、モーリンさん!?」
モーリン 「どれどれ、ちょっとあたいに見せてみな」
モナティ 「だだだっ、ダメッ! ダメですのぉぉっ!?」
モーリン 「ははあ、さてはあたいに見せられないようなこと、書いたんだねえ?」
モナティ 「うにゅうううぅっ!? ごっ、誤解ですのぉ!」


それから、もうひとつ
カザミネさんともファナンであうことができました
しゅぎょうのたびはまだまだ、つづけるといってましたが
しばらくのあいだはトリスさんたちについてきてくれるようです
できたばかりのコブがいたいのでここでペンをおきます
だいすきなマスターへ モナティより
かしこ

・・・うにゅうぅぅっ



▼第8話

はいけい、マスター モナティですの
いきなりですがしつもんがあります
マスターは「すていつ」の「ろす」ってばしょしっていますか?
レナードさんってかたとしりあったのですが
モナティがマスターにおそわっておぼえたようなことばを
そのひとは、なぜかしっているのです
ひょっとするとマスターとおんなじばしょから、きたひとかもしれません・・・


モナティ 「ねえねえ カザミネさん・・・レナードさんが「でか」だってことも書いておいたほうがいいでしょうか?」
カザミネ 「手がかりは多いに越したことはなかろう」
モナティ 「そーですねえ・・・」

レナードさんは「でか」というおしごとをしていたそうで
「ほっとどっく」と「こーら」がこうぶつらしいですの
なにかわかることがあったら、モナティにおしえてくださいませ
おたより、おまちしていますの
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ


カザミネ 「しかし・・・「甲羅」が好物とは面妖でござるのう・・・」



▼第9話

はいけい、マスターおげんきですか
モナティたちはようやく、もくてきのむらのあるばしょまでつきました・・・
ですが、そこにはむらのかわりに
あくまのいる、もりがひろがっていたんです
あくまですの「あ・く・ま」 くまさんではないですの
うにゅ、もじにするとややこしいです


トリス 「モナティ、そろそろ寝ないとダメよ? 今日はみんな同じ部屋なんだから」
モナティ 「あ、はいっ すぐに終わりますから」


モナティ、あくまはキライですの
だって、あのときのことをおもいだしてしまうから・・・
はやく、むらがみつかってくれればいいなっておもいます
それでは、またおたよりしますの
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ



▼第10話

はいけい、マスターおげんきですか
モナティは、きょうカイナさんたちとであいました
エルジンさんやエスガルドさんもいっしょです
みなさんがいきなりいなくなったときモナティはとってもぎもんでしたが
りゆうをきいてなっとくしました
また、あくまがわるさをしないようにこらしめるためだったんですね・・・


エルジン 「悪かったね、モナティ 黙って行っちゃってさ」
エスガルド 「デスガ、他ノ者タチニ余計ナ不安ヲ与エナイヨウニスルタメニハ、事情ヲ説明スルワケニイカナカッタコトヲ理解シテホシイ」


それはわかりますの でも・・・
やっぱり、ちゃんとせつめいをしてほしかったですの
モナティ、ちょっとおこってます
マスター・・・もう、こんなふうなないしょは、やめてくださいね?
かえったら、きちんとあやまってください そしたら、ゆるしてあげます・・・
やくそく、ですの!
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ



▼第11話

はいけい、マスター モナティですの
カイナさんたちとあったって、まえのてがみで、かきましたよね?
あれから、すごくおどろくことがありました
トリスさんのなかまの、ケイナさんというかたが、なんと
カイナさんのおねえさんだったんですの!!
シルターンにいたはずの、おねえさんがどうしてこんなところにいるのか
それはわかりません
ケイナさんが、じこできおくをなくしているからです・・・


カイナ 「モナティさん そこからは、私から説明させてください」
モナティ 「はいですのーっ」


そういった理由で勝手ながら、しばらく私は、ねえさまたちと行動いたします
側にいれば、記憶を取り戻す助けになれるかと思うのです
カイナのわがままをどうかお許しください

・・・というわけです
モナティからもおねがいします
どうか、カイナさんをしからないであげてください
それでは、またおてがみいたしますの
だいすきなマスターへ モナティより
・・・かしこ



▼第12話

はいけい、マスターおげんきですか
きょうは、おしらせしたいことがあってペンをとりました
トライドラがデグレアにまけてしまいました・・・
ネスティさんがおっしゃるには これによって、にしのかいどうがうばわれ
そちらにもデグレアがせめてくるかもしれないそうです
せんそう、ですの!


ネスティ 「・・・モナティ」
モナティ 「なにか、間違ってるですか?」
ネスティ 「いや、間違ってはいないが もっと、こう・・・緊張感のある文章で報告するのが・・・」
トリス 「ねえ、ネス・・・自分が要求しようとしてることの意味がわかってる?」
ネスティ 「む・・・」
モナティ 「ネスティさん?」
ネスティ 「いや、これでいい。 僕が悪かった・・・」
モナティ 「???」

そういうわけですのでくれぐれも、きをつけてください
モナティもきをつけますから
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ



▼第13話

モナティ 「はいけい、マスターおげ・・・」
トリス 「モナティ、お祭りに行くわよ!」
モナティ 「えっ?でもモナティ、お手紙がまだ・・・」
トリス 「そんなのあとあと! 早く行かなくちゃパレードが終わっちゃうわ。 それにどうせなら祭りのことも手紙に書いたほうが、きっと楽しくなるわよ?」
モナティ 「うーん・・・それは、そうかもしれませんねえ?」
トリス 「よし、それじゃ決まり!」


モナティ 「にゅうううっ やっと買えたですのぉ」
トリス 「ここの屋台で売ってるアイスキャンディはすっごくおいしいって話だもの」
モナティ 「へえ・・・」
トリス 「どれどれ・・・うん、さすが! 行列ができるだけのことはあるわよね」
モナティ 「それじゃあ モナティも・・・うにゃあっ!?」
男 「ぼけっとしてんじゃねえぞ、バカ野郎っ!」
トリス 「ねえっ、大丈夫? まともに鼻から地面にぶつかったわよ!?」
モナティ 「だ、大丈夫ですのぉ でも・・・」
トリス 「アイスキャンディは泥だらけか・・・」
モナティ 「うにゅううぅぅっ まだ、ひと口も食べてないのにぃ・・・」
トリス 「買い直すにも、あの列じゃねぇ・・・ほら食べかけで悪いけどこれでガマンしてね」
モナティ 「え、でもそれじゃトリスさんの食べるぶんが・・・」
トリス 「いいって、いいって どんな味かはちゃんとわかったんだもの。 それに、まだまだ食べたい物はいっぱいあるもの」
モナティ 「にゅうぅ・・・トリスさぁん」
トリス 「・・・どう おいしいでしょう?」
モナティ 「はいです・・・とっても、おいしいですの・・・」


トリス 「花火か・・・船の上から、あげているのね」
モナティ 「キレイですのぉ。 マスターやフラットのみんなにも、見せてあげたいですの・・・」
トリス 「・・・・・・やっぱり、向こうの街に早く帰りたい?」
モナティ 「それは・・・帰りたいですの・・・」
トリス 「そっか・・・」
モナティ 「でもでもっ! ただ帰りたいだけじゃないんですのっ。 モナティはトリスさんたちと一緒に帰りたいんです・・・みんなで一緒に ずっと一緒に暮らしていきたいですのっ」
トリス 「モナティ・・・」
モナティ 「わかってますの これは、モナティのワガママだって。 でも、モナティ トリスさんたちとも、おわかれしたくない・・・帰りたいけど・・・っ 帰りたく、ないんですのぉ・・・っ」
トリス 「ありがとう、モナティ だけど、泣かないで? 向こうに帰ったってあたしたちは仲間よ いつだって、きっと会えるんだから。 さあ、泣きやんで? そしたら帰りましょう あたしたちの家へ」
モナティ 「にゅっく・・・は、はいですの・・・」




▼第14話


はいけい、マスターおげんきですか
やっと、アメルさんとおじいさんがあうことができました
おじいさんはいままでだまっていたことを アメルさんにはなしてくれました
アメルさんはおじいさんが、もりでさずかった、こともなんだそうです
リプレさんたちとおんなじ、おやのないこどもだったんです
それをきいたとき モナティは、すごくおどろきましたけど
アメルさんは なんとなく、きづいていたのかもしれません
うそをついていたおじいさんを、せめることもしないで
ただ、ありがとうっていってました・・・


モナティ 「そういえば・・・トリスさんもご両親がいないんでしたよね?」
トリス 「そうね・・・だけど、あたしだけじゃないわ? ここにいるみんなはなにかしらの形で大切な人を失ったり会えずにいるから」
モナティ 「あ・・・!」


モナティ、ようやくわかりました
ここのみなさんが どうして、こんなにもやさしいのかを
きっと、さびしさをしっているから
モナティにはよくわかります だって・・・
さいしょのマスターがなくなられたときにモナティたちも
たくさん、たくさんさびしいおもいをしましたから・・・
なんだかおもいだしたらかなしくなってきてしまいました
きょうは、ここでペンをおきます・・・
だいすきなマスターへ モナティより

・・・かしこ

ついしん
はやく、マスターにあいたいです・・・



▼ED


ガゼル 「なあ、本当にもう帰っちまうのかよ?」
アルバ 「そうだよ! もっと、ゆっくりしていけばいいのに」
トリス 「ありがとう でも、やっぱりあたしたちは帰らないとね」
アメル 「みなさんのおかげでゆっくり休むこともできましたし・・・」
ネスティ 「なにより、傷の癒えたルヴァイドを連れて戻らなくてはならない」
トリス 「戦争は終わったけれど、まだ、その後始末はこれからなのよ。 そのために、あたしたちができることは、きっと、たくさんあると思うの。 だから、帰るの それを果たすために」
エドス 「そういうことなら引き止めるわけにはいかんなあ・・・」
カシス 「がんばろうねっ? お互いにさ」
ネスティ 「ああ、そうだな」
レイド 「今回の件については我が騎士団からも聖王家に報告させてもらったよ。 ありのままに、ね」
イオス 「ご厚恩、感謝の言葉もありません」
ルヴァイド 「世話になったな・・・本当に・・・」
リプレ 「気にしなくていいよ 困ってる時は、お互いさまなんだから」
ラミ 「げんき・・・だしてね・・・?」
ルヴァイド 「ああ・・・」
トリス (あとは・・・)

トウヤ 「モナティ、見送りは笑顔でしてあげよう?」

モナティ 「にゅっく・・・ううっ、ひっく・・・」

トリス 「モナティ、今までありがとうね?」

モナティ 「にゅっく・・・トリスさぁん。 ごめんなさいですのぉ、モナティ、お役にぃたてなくてぇ・・・護衛獣にぃ・・・っ なって、あげられなくてぇ・・・ううぅっ!うにえぇぇ〜んっ!!」

トリス 「そんなことないよ? モナティは、ちゃんと役に立ってくれたわ あたしの護衛獣として。 だからもう泣いちゃダメ」

モナティ 「は、はい・・・っ! 今まで・・・ありがとぉ・・・ございました・・・っ。 トリス マスター・・・っ!」

トリス 「うん・・・」

トウヤ 「また会おう、トリス」

トリス 「ええ、約束するわ」

トウヤ 「誓約者の名の下に?」

トリス 「誓約者と・・・調律者の名の下に!」




みなさんと出会えたこと、モナティの大切な宝物ですの!





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